―リナがいない…
 …あいつと二人で部屋に行って…その後すぐに結界が張られて…慌てて後を追って部屋に入ろうとしても入れなくて…
 …暫く経って…結界が解けてから急いで部屋に入った時には…
 …もう其処にはいなかった…
 …こんな時…どうしたらいいんだろう…
 …いつも…難しい事はリナが考えていてくれたから…
 …リナがいないと…どうしていいのかわからない…
 「ああ…こんな時…リナがいたらなあ…」
 ポツリと呟く…
 「リナがどうかしたんですか?」
 何気なく口から零れていた言葉に対し、そう問い掛けられて慌てて振り向く…
 …其処には暫く前まで一緒に旅していた黒髪の少女がいた…
 
 
 
赤き存在(もの)達のローカス―2―


 …ひっく…ひっく…
 ―少女が泣いている…声を殺して…

 黒髪の少女が黙々と旅支度をしている…
 「…姉ちゃん…どうしても行くの?」
 銀髪の少女がそれを見つめながら、どこか淡々とした様子で云う…
 「…戦うの?兄ちゃんと…」
 その…妹の言葉に姉は手を止め…
 「…決着は…着けないといけないのよ…わたしとあいつの…」
 …そう言うと、また支度を続ける…
 「…あたしはヤだからね…ヤだから…」
 …俯いて…絞り出すように妹は言う…
 「無理に着いて来いとは言わないわ…わたしにもあいつにもそして勿論あんたにも…それぞれの道があるんだから…」
 嘆息混じりの姉の言葉にも僅かな苦渋が見える… 
 「…だから…人界に行く…あたしはどっちにも付かない…運命なんて知らない!あたしはあたし自身が思う通りに生きる!人界で!」
 そう言って顔を上げた妹は真っ直ぐに深紅の瞳で姉を見つめる…

 ―そして…暗転…鳥の囀り…眩しい光…
 「…なんで…あの夢を…現在になって…」
 そうベッドに腰掛けて黒髪の女性が呟く…
 「…もしかして…あの子に何か…」
 鏡台の前で髪を梳かしながら…現在は遠い処にいる妹に想いを馳せる…
 
                             ―続く―
 
 ―あとがき―
 えー『赤き存在達のローカス』久し振りに書きました…
 なんだかここ最近企画物ばかり書いている様な…そんな感じのRINです…(しかも気のせいなんかじゃないし…)
 次回ですが…次回は…リナ視点になると思います…
 …お見合い物の続きは…済みません…もう暫くお待ち下さい<(_ _)> 

 ―それではまたの機会に―RIN―