「…かってに動いたことがあると言ったな、アレン…それは具体的にはどういう時だ?本当に人間相手には無いのだな?」
ブックマンのその問いに、アレンは頷いて答えようとして…
…しかし…そう言えばと思い出す…
「…人間相手にも反応したのか?」
「…はい…でも…あれは正確には僕の感情に反応してのモノでしたし、相手が人間だったので、僕はなんとか抑えて発動を解いたんです…それにあの時はアクマを相手に発動した、その場ででしたから…」
…その時の事を思い出し…そして…少し前に出会った『ノアの一族』を名乗る少女ロードに出会った時の事が思い起こされる…
…以前師のパトロンである老婆に言われた言葉と共に…
…だが…いまはその事を考えてる時では無いと…思考を切り替え…アレンはブックマンにこれまでおこった自分の意志とは無関係な発動に関して話した…
悪夢―6―
「…ふむ…大体話は解った…つまりアクマが絡まぬ時以外で考えられ得るのは、アレン自身の生命の危険か感情に反応して発動しておると言うことだな…アレンは寄生型…ならばあり得ぬ話ではないな…」
アレンの話を聞き終えると…ブックマンはそう言って一人納得し、頷いた…
「…そうなんさ?ジジイ?感情は兎も角生命の危険に反応なんて聞いたことないさ?」
ブックマンのその言葉にラビが疑問の声を上げる…
…これまで出会った寄生型の話とアレンの先程までの話には何か微妙な差異が合ったように感じられたからだ…
「…フンだからお前は未熟者だと言うのだ!…イノセンスなんぞなかったとしても、人は自身の生命の危機に際しそれなりの反射行動を取る…それは時には直感的なモノであることもある…それに際して一切の感情が動いておらぬなどと言う事は有り得ぬ…本人の自覚云々は兎も角…必ず死の恐怖なりなんなりを感じているものだ…そしてアレンは寄生型だ…装備型より余程密接にイノセンスと結びついておる…本人が気付かぬ程の微妙な感情の変化にさえ、イノセンスは影響を受けるのかも知れぬ…」
そうブックマンは己の見解を説明する。
「…はあ…なるほど…そういうことさー…じゃあ…結局感情に反応してるってことになるんさ?」
それにラビは成る程と頷く。
「…そう言うことだ…そして…そうであるならば…夢に魘されたアレンのイノセンスが多少勝手に動いた所でそうおかしくもない…夢に魘された人間がおこそうとした人間の手を払う…それと大差ない…つまり反射行動だ…心配するほどのことではない…だが…どうしても気になるのなら…明日の朝にでも本部に連絡して室長殿に相談するが良かろう」
そう言われてアレンは…それでも『何か』が気になると思いながらも…頷いた…
―続き―