…少年は草原を往く…唯一人…
―碧の行く末― 〜2〜
殷の羌族狩りから子供達だけが逃れる事が出来た…
子供達にとって、望は長であった…
何とか逃れ、ようやく落ち着いた頃…
唐突に望は旅に出ると言い出した…
「望…どうしても往くのか?」
黙々と旅支度を調える望に問い掛ける…
「兄上…」
「皆が悲しむぞ…」
こうすると決めた望を、もう自分一人では止められないから、そうと知っているからこそ、こんな風に言う…苦しめる事になると解っていながら…
「…暫しの事です…」
「復讐なんか…もういいじゃないか…」
…そんな事を言っても、本当は自分は望んでいる…奴らの破滅を…
そして知っている…望のしようとしている事がそんなものではない事も…
「…僕はただ…僕の為すべき事をするだけです…」
自分は弱く醜い…こんな自分には…止めることは出来ない…強く純粋な望を…