彼は今のバイト先では風見望と名乗っている…
 バイトが終わると彼はいつも直ぐに帰る…
 誰かに誘われても、結局はいつも一人で帰る…
 店の近くのコンビニで必要な物を買って…
 人気の無い路地裏をコンビニ袋を下げて…
 自らの半身の待つ処へと…

 
―アルバイトをしよう!!―(ホワイトデー編2)
 
 ヴンという空間の歪む音と共に彼はその空間に現れた。
 黒い髪に碧の瞳の少年…バイト先では風見望と名乗っていた彼である…
 とその時だった…彼の背後の空間に誰かが瞬時に現れたのは…
 「ヨゥ!今日はいつもより遅かったな」
 「ムッ!訳なら知っておろう」
 「ああ、まあなっ…だが何だってわざわざ偽名まで名乗ってバイトなんざ始めたんだ?」
 これまでこんな事ろくにしなかっただろうと言う背後の人物に対し、振り向きもせず、買ってきた物をおざなりにソファーの上に放り出すとゴソゴソと着替えを始める彼にそう問い掛ける。
 「それは最初に話したであろう…あの菓子が美味そうだったのだ…だから金が要った……只其れだけだ…」
 「自分(オレ)にそんな誤魔化しが通じると思っているのかよ」
 「わしは嘘は吐いておらぬぞ…」
 「嘘はな!だが肝心な所を誤魔化してるだろう」
 「おぬしの勘ぐり過ぎじゃよ…」
 「それなら、風見望ってのは何なんだよ?」
 「偽名じゃ!仙界・神界対策じゃ!呂望ではバレバレだからのぅ!かと言ってあまりにかけ離れた名前を適当に付けると呼ばれた時に反応しそこねるという可能性もあるからのう!」
 「だから太公望の望と、伏羲(オレ達)の風姓からとって、この国風にアレンジして風見望ってわけか?ケッ!オレが言ってんのはそんな事じゃねぇ!何だってわざわざ分裂までして、始祖の力を使ってまで人間に成り済ましてバイトなんかするんだって事だ!」
 「別によかろうそのような事…只のきまぐれじゃ…それより着替えも済んだし、そろそろ酒でも飲まぬか?今日は給料日であったため、少し奮発して結構上等の酒も買ってきたのだ!」
 そう言って振り向いた彼の手には、どう見ても未成年にしか見えない彼がどうやって買ったのかと、何も知らぬ者が見たら疑問に思うであろう事間違いなしの、彼曰く結構上等の酒とグラスがあった…

                   ―続く―

 ―あとがき―
 あれ?おかしいなあ?何か予定が崩れてるなあ?確か当初の予定ではこの第2話は太公望&王天君が酒飲みしつつ掛け合いするギャグまがいのシーンの筈だったんだけど…
 シリアスになってる…王天君が…ゥゥ…
 まあ…だからって書き直す気にもなれないしなあ…もういいや…
 よく予定は未定であって決定では無いって言うし!
 えーとそれでは第3話では…太公望がバイトに行き始めた本当の理由がチラッとだけ出てきます。
 それでは次回第3話なるべく早くUP致しますので、暫くの間お待ち下さい<(_ _)>