―リハビリ用突発抜粋駄文(Dグレ)―
        【方舟編・奏者ノ資格予想ネタその1】
                     (『お蔵入りネタ』)
                 

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 『オレ』の姿を認めるなり『ブックマンジュニア』は『アレン』の名を呼んだ。
 
 ―目を見開き…信じ難いという表情で…

 …さすが『ブックマンジュニア』気付いたか…

 ―ズキン…
 再び胸に奔る『痛み』…

 …『アレン』が泣いてるのか…

 ―気付かれたくなかったと…

 …まあ『オレ』としても気付かれるのはマズイ…
 そう思って『ブックマンジュニア』に出来うる限り近付き…

 「
…ジュニア…それ以上は口にするな、考えるな

 ―余人には聴こえぬ程の微かな小声で囁く…

 「
ロードに気付かれると困るんだよ…
 
 …そうロードに気付かれるのは困る…

 「
『オレ』も

 …いまはまだ…

 「
『こいつ』もな…
 『オレ』は『自らの身体』を親指で指し示すジェスチャーをし『アレン(こいつ)』と告げる…

 …そう『オレ』にとっても『アレン』にとっても気付かれる訳にはいかない…

 …だからこの…『ノア化』した姿で出てきた…

 …確かに『この身体』は『アレン』だから『年齢』だけはどうにもできなかったが…けれど…

 …そもそも『アレン』は『オレ』が造った…『オレ自身』の『遺伝子』を元に…

 …だから『アレンの顔』は『オレの顔』…『ノア化』すれば当然その姿は当時の『オレ』に近くなる…まして…『オレ』の『意識』が『自我』が『アレン』の『ソレ』に勝っているのなら尚のこと…

 …『オレ』を知っているロードが…『目の前』の『死んでる筈』の『オレ』の姿に動揺して気付けないのは無理も無い…
 そう思って『オレ』はクツリと微笑う。
 
 「…おま…え…やっぱ…」
 『オレ』の『言葉』に『ブックマンジュニア』が目を見開く。
 「…で…も…なん…で…」
 目を見開き…掠れた声で言う…

 「『オレ』はノアの『14番目』。そしてノアを…千年公を裏切ったノア」

 うっかり間違えて『アレン』と呼ばれては堪らないので『オレ』はそう言う…

 …それは敵意や警戒心を持って『こちら』を見つめる『他二名のエクソシスト達』に…『オレ』と『ノアの関係』を伝える意図もあっての口上。

 「…なっ…ノアがっ…!?…」
 「…裏切…り…」
 「…そんな…」

 ―動揺も露わに口々に『エクソシスト達』が驚嘆の声を漏らす…

 「…詳しい事情はクロスに聞けよ。あいつと『オレ』の利害は一致していてね、『オレ達』は『共犯関係』にあるんでね」
 一瞬だけ『ブックマンジュニア』に視線をやって…そして手を軽く振りそう言うと『オレ』はスタスタと歩き…
 「…さてと…」
 今度は『リナリー』と言う名の少女が、閉じこめられた『サイコロ』の前まで行くと立ち止まり、再び『右手』に『ノアの力』を集めて触れる。
 
 ―スッ…
 触れて『サイコロ』を消す。

 「…え…?…消え…」
 「…消えたっス…」

 ―消えた『サイコロ』に閉じこめられていた2人はキョトンとし…

 「…あ…あの…あなたは…本当に…?…」
 
 ―戸惑った様子でリナリーは『14番目』に問い掛ける…

 「…勘違いすんなよ?『オレ』は『お前ら』の味方じゃあない。クロスがきっちり『オレ』との『約束』を守ったからその『義理』で助けてやっただけさ」

 ―戸惑うリナリーに『14番目』はそう告げる…

 …『オレ』は『アレン』とは違う…裏切ったとは言えノアだ…『お前ら』に『味方』だと思われるのは不愉快だ…
 そう心の中で『オレ』は付け足すと…

 「…後は『アレン』との『約束』があるからな…一応『お前ら』が此処から出るための『出口』は造ってやるよ」
 そう言って『オレ』は再び『パチン』と指を鳴らす…

 ―ポォン♪
 そして再びその場に『ピアノ』の音がして…

 ―『方舟』の『ゲート』が『その場』に現れた…

                    ―続く―

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 ※初出:2010年1月28日『螺旋の館・別館(ブログ館)』
                     (ブログ突発駄文再録)