「…どうでもいいけど…逃がさないってさっきも言ったよな…」
そう言ったのはいつの間に移動したのかラビの前に立ちはだかったティキだった。
それを見て『14番目』は眉を顰め、チッと舌打ちをする。
「…おい…」
そして『14番目』がそう口を開き言い掛けた時…
「構いませんヨvティキぽんv彼らは行かせてもネv」
聞こえた『その声』に『14番目』と『エクソシスト達』が目を見開き、その声のした方を『彼ら』は弾かれる様に顔を向ける。
―其処にいたのは丸くて大きな身体に大きな口そしてとがった耳にシルクハットと眼鏡を付けた異形の…どこか奇妙なけれど紳士然とした存在…
「…千…年…公…」
現れた『彼』を食い入る様に見つめ『14番目』は掠れた声でそう呼ばい…
『……伯爵…』
そして次いで『エクソシスト達』がそう呼んだ。
『お蔵入りネタ』
【方舟編・奏者ノ資格予想ネタその1】
―41―
「…千…年…公…」
『アレン』を通してではなく…久方振りに『自分自身』が見た『彼』の姿に、感じた『気配』に『魂(こころ)』が震えた。
…溢れてくる『感情』は『一言』では決して言えない。滅茶苦茶でゴチャゴチャとした『モノ』で『14番目』にとっても容易に制御出来ぬ『ソレ』に…「だからまだいまは会いたくなかったのにっ!」と胸中でひとりごちり…そして掠れた声で『その呼び名』を口にする。
…マナ…マナ…兄さん…
叫び出したい気持ちに駆られるその心を必死に抑え付けていると…
『……伯爵…』
聞こえた『その複数の声』にハッとする。
…『アレン』の『仲間達』…!…
そしてその声を発したのが『誰』なのかを悟ると…「マズイっ!」と胸中で舌打ちし…
「…っ!お前らさっさと行けっ!ここから出て行けーっ!!」
気が付いた時にはそう叫んでいた。
―続く―
―あとがき―
お待たせ致しました。ブログにUPしていた『お蔵入りネタ』方舟編ケース1の続きです。
この41話は『話の構想』自体は出来ていたのですがなかなか書き上がって…と言うか着手する事が出来ませんでした。
お待ち下さっていた方、もしおられましたら申し訳ありませんでした。
―それではまたの機会に―RIN―