半身8―王天君―『邂逅7(光の鏡3)』

 「そうだなオレが陰の封神計画遂行者だったって話はどうだ?」
 「陰の…?」
 太公望が眉を寄せる…
 「表向きはおまえが封神計画を進めているよぉに見せかけ…裏ではオレが全てを進めていたって事だ」
 「黒幕はあのクソジジィよ」
 オレがこれまでしてきた事、お前も感じているだろう疑問の答え…  
 「―――実はこれらの方法はあんたも考えていたはずだ『善悪を考えなければ有効な方法だ』……とな」
 …それをオレが気付かせてやる…
 「だが あんたはいいヒトだからそれができなかった」
 「何が言いたい!?」
 太公望は険しい表情(かお)で問いただしてくる…
 「オレは――――あんたが本当にやりたかった事をやっていたのさ」
 そう言って、空間越しに手を差し伸べて、太公望の頭巾を取った…
 思った通りだ!
 「ククク……」
 オレは自分の帽子を取る…ずっと人前では取った事の無かった帽子を…
 帽子を脱ぎ捨てたオレを見て太公望は目を見張った…
 …あいつも気付いたか…そう…こうして見ればよく分かる…オレとあいつは鏡なんだという事が…
 「オレはあんたの心の闇を映す鏡ってとこだ」
 …そう…オレは闇で…あんたは光…
 「そしてあんたはオレの心の光を映す鏡」
 「な…何を言っておる!い…意味がわからぬ!」
 ククク……分からないって言うより、分かりたくないって言う感じだな…太公望…
 「おぬしの言いようを聞いておるとまるで…まるで…」
 …分からせてやるよ…太公望…
 お前ももう大体の事は原始のジジィから聞いてるんだろが、オレが一から順を追って話してやるよ…
 「そして崑崙山に残ったオレの半身は…」
 …はっきり言ってやる…  
 「ククク……もぉわかってんだろ?」
 …お前が否定したがっている真実を…
 「オレとあんたは同一人物なんだよ」
 お前が目を背けていた現実をオレはお前に突きつけた…
                                                       ―つづく―