「…『ハート』を見付け出して…『覚醒』させる…『鍵』だって…」
 ―!!!
 …ラビのその言葉は…3人に驚愕をもたらした…

 …ずっと『ハート』には手掛かりとなるような物はなかった…

 …それなのに…

 ―『ハート』を見付け出す『鍵』…

 …それが『本当』であるならば…

 …それは『ハート』が見付かることに匹敵する事実だった…


 
―『ハート』の『鍵』―
              ―3―
 


 「…モヤシの…イノセンスが…」
 「…ハートの…鍵…そんなイノセンスがあるなんて…」
 「…アレンくんの…イノセンスが…」
 ユウとマリとミランダが…目を瞠り…それぞれに口にする…
 「…それで…元帥が全員呼んで来いって言うんで来たんさけど…ティエドール元帥は?」
 長くなるから細かいことは省いてオレは言い…姿の見えないティエドール元帥の居場所を聞く…
 「…ああ…師匠なら…何かブックマンに話があると言って、ブックマンの所に行ったんだが…会わなかったのか?」
 そうマリに逆に問われて…
 「ああ…オレすぐにリナリー達のとこに戻ったから…」
 そう答えて…行き違いになったのか…と考え…
 「サンキュー!マリ!ジジイんとこ行ってみるさ!みんなは先に元帥のとこ行って…」
 そうマリに手を挙げて感謝を現し…そう言ってブックマンの所に向かおうとした時…
 「待って!ラビくん!」
 ミランダに呼び止められた…
 「…なにさ?ミランダ?」
 オレは軽く肩越しに振り向いて問う…
 「…アレンくんは…?…」
 震える声で…
 「…アレンくん…大丈夫なの…?…」
 ミランダが問う…
 「…アレンくんが…中国でノアに狙われたのって…もしかしてっ…」
 その声には…不安と焦燥が入り交じり…
 「!おいっ!ラビっ!それホントかっ!?」
 「!ラビ!どうなんだ!?」
 ユウとマリが顔色を変え口々に問う…
 「…アレンが中国でノアに狙われたのは本当さ…でもティムキャンピーのメモリーで見たんさけど…あの時ノアは…アレンのことをイノセンスやエクソシストとはまた違う理由で狙ったみたいだったさ…」
 …そう『あの時』…ノアは…ティキ・ミックは…アレンのことを『とある人物の関係者』って言った…
 …恐らく『とある人物』とは…ノアを裏切ったノア…
 …アレンの親父…
 「違う理由?なんだそりゃ?」
 そう言ってユウが眉根を寄せる…
 「…さぁな?気になるんならティムのメモリーでも見たらどうさ?オレはクロス元帥絡みだと思うんさけど…」
 …悪いなユウ…ホントのことはいくらお前にでも…まだ話すのは躊躇われるんさ…
 「…つまり…少なくともその時点では知られてはいなかった…と言う訳か…」
 そう言いながらマリが頷く…
 「…そう言うことさ…ただ…アレンが狙われてることに変わりはないから大丈夫ってこたぁないんさけどな…」
 そう言ってミランダを見て…
 …もういいさ?…と問い…
 頷くミランダのその様子に…
 「…ってわけだからオレ急ぐからっ!元帥が待ってるからっ!」
 そう言って今度こそオレはジジイと別れたその場所へと、駆けだした…

                                            ―続く―