「…ってわけだからオレ急ぐからっ!元帥が待ってるからっ!」
 そう言って…オレはユウ達と別れ…ジジイとティエドール元帥のいる場所へと駆けだした…


 
―『ハート』の『鍵』―
              ―4―
 


 「ジジイーッ!元帥ー!大変さー!!」 
 ジジイと元帥の姿が見え始めたのでそう叫んだ…
 「ジジイ!ティエドール元帥!大変さっ!クロス元帥がっ!アレンのことで大変なことが解ったさっ!」
 …そう叫んだら…
 ―バシン!
 …思いっきり殴られた…
 「…落ち着け馬鹿者がっ!」
 「なにすんさこのパンダ!大変だから大変だって言ってるんさ!」
 ―バシン!
 「大変だけでは解らぬわっ!順を追って話さぬか馬鹿者!」
 …言い返したらもう一度殴られた…
 「…まあまあブックマン…それでラビ…マリアンがどうかしたのかい?」
 そう言ってティエドール元帥がジジイを宥めてくれる…
 「!あっ!そうだった!ジジイと言い合いしてる暇なんかなかったさ!戻ったらアレンがいなかったんさ!」
 …元帥がここにいる理由…ジジイは元帥に話したんかも知れない…
 そう思いながら…まず…ジジイにアレンがいなかったことを告げる…
 「…言わんこっちゃない…馬鹿者が…あれほど目を離すなと言うたであろうが」
 「…しょうがないさっ!戻ったらもういなかったし…アレン…クロちゃんと一緒にトイレに行ったって言うから…でそしたらクロちゃんが一人で戻ってきて…そうこうしてたらクロス元帥が突然現れて…なんか心当たりがあるみたいなこと言って…それでオレらがそのことについて聞いたら…元帥が昔アレンはこの国にいたことがあるって…」
 ジジイの言葉に言い返して…そしてオレはクロス元帥の事を告げる… 
 「…それは本当かい?ラビ?」
 オレの言葉にティエドール元帥が微かに目を瞠る。
 「元帥が言うにはアレンがまだ父親と一緒に大道芸人をしていた頃に、大道芸をして見せて欲しいって言う口実で伯爵に誘き寄せられたんだって…」
 オレはティエドール元帥の疑問に…クロス元帥から聞いた『アレンがこの国に昔いた理由』を話す…
 …尤も…オレ自身も…その話しを信じたわけじゃない…
 …恐らくそれはブックマンのジジイも同じだろう… 
 「…伯爵が…」
 そう呟いてジジイが黙り込む…
 
                                            ―続く―