「…気にするな、連れ戻せって言われてもな〜…肝心の太公望という道士が現在(いま)何処にいるのかも分からないし…それどころか僕は彼の顔さえ知らないし…それに申公豹の言っていた事も気になるし…羌太公と反対派もやはり無関係とは思えない…だとすると…原始天尊様はやはり何かを隠している…」
 (…申公豹はその何かを知っているのか?)
 (…だとしたら…原始天尊様が何と言おうと…やはり呂望という占い師をあったってみた方が良いんだろうな…)
 玉虚宮を出た楊ゼンは原始天尊の言葉を思い出し…僅かに考えた後そう結論付け、その場を後にした… 


 
斉の国と羌太公―5―


 その店には…奥の部屋に、地下へと続く扉が隠されている…
 元々は収納用の地下倉庫だったそこは、現在では異なる目的で、それを知る極一部の者のみにしか分からないように細工を施され使用されている…
 そう商王国…殷王家に反発を覚える者達によって構成されるレジスタンスの朝歌での拠点として…

 その隠された部屋に突然一人の少年が入って来た…そこにいた者達はその少年を見て驚く…
 但しそれは少年が彼らにとって見知らぬ者であるという訳ではなく…
 少年が彼らの…現在此処にはいる筈の無い…崑崙にいる筈の…彼らの主だったからだった…

 「しょ…尚甫様…何時こちらに…」
 少年…尚甫と呼ばれた人物に…部屋にいた者達の中でも比較的若い中年程の男が声を掛ける…
 「久しいのう、皆元気であったか?」
 少年はそう言って穏やかに微笑む…姿に似合わぬ年寄り臭い言動をとって…
 「ええ…ですが何故貴方が此処に?」
 尚甫の言葉に今度は長老格の者がそう問いかける…
 すると尚甫困った様に頬を掻いて口を開き…
 「うむ…実は少し困った事になってのう…」
 そう言うと…小さく嘆息した後…
 「…決行を早める必要が出てきたのだ…」
 真剣な表情でそう言った…
                             ―続く―
 ―あとがき―
 お久しぶりです皆様、RINですm(_ _)m
 何だか…最近封神ではこればっかりを更新してますね…
 …一応…evoke one's recollections《one's home》シリーズでは碧の行く末をトップで連載してますが…
 …その他のシリーズは…うぅ…(皆様すみません…)
 ―それでは皆様またの機会に―RIN―