「…まったく…余計な事を言ってくれたものじゃのう…申公豹」
 玉虚宮を出た楊ゼンの様子を千里眼で見つめながら原始天尊は、岩陰に隠れて一部始終を見ていた申公豹に対してそう言った。
 「おや…ばれてましたか」
 そう言って申公豹はゆっくりと現れた。
 「まあ良いでは無いですか、肝心な所は何も話してはいませんよ」
 「まあ確かにその様ではあったが…それで結局おぬしは何の用で参ったのじゃ」
 「それは勿論あなたの愛弟子の事です…あなたが何故楊ゼンに全てを語らなかったのかは知りませんが、急いだ方が良いのでは無いですか?妲己は彼が羌太公だと確信しています、あの様子では楊ゼンは間に合いませんよ」
 「申公豹…おぬし何が目的じゃ…」
 「話しが早くて助かりますよ原始天尊」
 にやりと申公豹は不気味な笑みを浮かべて言った… 


 
斉の国と羌太公―6―

 
 「…決行を早める必要が出てきたのだ…」
 尚甫…そう呼ばれた少年(呂望)のその言葉に、その場にいる者達はそれぞれ顔を見合わせ…そして…
 「…で…では…」
 「…遂に…」
 「…尚甫…否子牙様…」
 「…賢弟…」
 …口々に彼等はそう口にし…
 その様子に少年は重々しく頷き…
 「…そう…」
 口を開いた…小さな声で…
 「…克殷の時が来たのだ…」
 そう続けられた…

                                  ―続く―

 ―あとがき―
 
 皆様お久し振りです、RINです。遅くなってしまい申し訳ありません<(_ _)>
 …そして…なんだか短いです…スミマセン…
 ―それではまたの機会に―RIN―