「ねぇんv紂王様んv」
妲己は艶めかしい仕草と艶っぽい声で男にしなだれかかり、甘えるように囁く…
「…うん…どうしたか?妲己よ…」
傾国の美女に絡め取られた男・商王国・殷王家の紂王はまるで甘やかな夢でも見ている様にうっとりとした様子で妲己を見つめる…
そんな紂王の様子に妲己は満面の笑みを湛えて、その耳元に何事かをそっと囁いた…
斉の国と羌太公―7―
「わしは兎に角一度城に潜入してみようと思う、おぬし等は賈人として朝歌を出て、草原を行き、縁ある者あらば、その者達も共に野へと向かうのだ」
尚甫(呂望)はそう言って皆に指示を下した…
彼の雰囲気は、その言葉を聞いた彼等に反論をさせ得ない何かがあった…
…そうして翌日彼等は朝歌をで…
…彼は町外れで占い師を始める様になった…
…謎の旅の占い師・呂望…そう名乗る彼の占いがよく当たると朝歌で評判になるのはそれから3日後(呂望が朝歌に着いてからは5日目)の事だった…
―続く―