『…何故なら封神計画反対派の首謀者とは、60年前に姿を消した筈の羌太公だからです、そして彼の幼名が呂望なのですよ…』
「……どういう事だ?」
中途半端な情報と混乱を申公豹によって与えられた楊ゼンはそう言って首を傾げた…
斉の国と羌太公―2―
―(商王国)王都・朝歌・禁城・王妃の間―
何処からともなく妲己の前に現れたのは一人の少年だった…
「いらっしゃいv来てくれて嬉しいわんvゆっくりしていってねんv」
「よう妲己久し振りだな…それで何の用だ?オレもそう暇じゃねぇんでな、大した事じゃないんなら帰るぜ…」
豪奢な寝台に腰掛け、婉然と微笑む妲己に、その少年は冷たい態度でそう言い放った。
「あ〜ん…王天ちゃんのいけずぅ〜vママ泣いちゃうv」
「…で…何の用だ…」
しくしくと両手で顔を覆って泣き出す妲己の様子にも構わずそう問い掛ける。
「そうねぇん…まずは金鰲の様子を聞きたいわねんv」
「金鰲はまあ相変わらずだぜ…聞仲の奴がいなくなってやりやすくなったからなぁ…」
「あらんv王天ちゃんは相変わらず聞仲ちゃんにご執心なのねぇ…」
「あんた程じゃねぇさ…それに…オレにはちゃんと別に本命がいるからなぁ…」
「あらんv奇遇ねぇん…実はわらわもなのんv」
「へぇー何処の誰だ?その可哀相な奴は?」
「失礼な子ねvでもいいわ教えてあげるv」
「随分とご機嫌じゃねぇか…一体誰なんだよ?」
「王天ちゃん…もしかして焼き餅?かわいいわねぇんv」
「けっ!そんなんじゃねぇよ…ただちょっと気になっただけだ…」
「それじゃあどうしてんv」
「…どうでもいいだろそんな事!」
「クスッ…まあいいわんv王天ちゃんの言う通り…わらわいまとても嬉しいのんvだから…教えてあげるv」
クスクスと笑みを浮かべながら妲己は告げる…
「60年前に捕まえ損ねた羌族の王子様…斉の太公…姜子牙ちゃんv」
「おい…斉はあんたが滅ぼしたんじゃなかったか?」
「そう…折角国を滅ぼしたのにあの子には逃げられちゃったのん」
くすん、と妲己が涙を落とす…
「だが60年前だろ…どうしていままで放っておいたんだ?」
「放っておいたんじゃないわん…あの子は崑崙に逃げ込んでいたのよん…それも一番結界の強固な処にねぇん…」
「崑崙ぐらいどうって事ねぇだろ?いまのあんたならよ…何だったらオレに言ってもいい…何故だ?」
「そうねん…確かにあの時すぐ捕まえに行っても良かったわ…でも…それじゃあつまらないと思ったのんv…崑崙が何か企んでいたみたいだったからそれが気になったし…それに…」
「それに?」
不意に口を閉ざす妲己の様子に疑問を抱き、続きを促す。
「クスッ…内緒んvまた今度ねんv」
「ふん…それじゃあ帰るぜ…」
そう言うとヴンという空間の歪む音と共に少年は姿を消した…
―続く―
―あとがき―
うわっ!皆様済みません(土下座)
前回の予告した謎の占い師の登場まで話しが進みませんでした<(_
_)>
今回は前回の冒頭部の続きだけで終わってしまいました…シクシク(T_T)
次回こそは!と言いたいのですが…どうやら話しが脱線しそうです…(-_-;)
…でも…まあ…今度こそ確実に太公望は出てきますので…
…謎の占い師…出せたら出しますけど…どうなるか…
それではここまでお読み下さり有り難う御座いましたm(_
_)m