「…アレン…我輩の可愛いアレン…どうして…」
 『家』に帰ってきてみると…伯爵が『何か』を手に持ってブツブツ言っていた…

 …それを見て…僕は頭が痛くなって…このまま帰りたくなってきた……

 …ハア…まあでも…そう言うわけにもいかないし…

 …取り敢えず…このうっとうしい行為を止めて貰おう…うん…出来れば今後ずっと…


 
家出少年の事情―4―


 「…伯爵…気持ち悪いんで、止めて下さい…」
 「…うう…でも我輩は……って…!……アレン!戻って来てくれたのですネ!vアレン!v」
 僕が声を掛けると…最初は泣いていた伯爵が、大急ぎで顔を上げ、こちらを振り返る!
 「…勘違いしないで下さい…僕は貴男を許した訳じゃない…早くマナを呼び戻したいから『例のモノ』を取りに来ただけです!…あと…それと…」
 そう言って伯爵にそっぽを向くが…不意に気が付いて…キョロキョロと辺りを見回し…
 「……?…伯爵?ロードはどこですか?僕は『あの子』に会いに来たんですけど…?…」
 「アレン…ロードロードっテ…我輩ハ?我輩ハ?…」
 ロードの姿が見当たらないので伯爵に聞いてみると…随分と情けない声を出されてしまった…
 「…マナを殺しておいて…まったく…まあ…さっきみたいな…情けなくて、気持ち悪いことを今後止めてくれるんなら…ロードに会いに来る時とか、何かのついでに時々は顔を見せに来ても良いです…」
 「…アレン…本当に悪かったと思っていまスv…ですがあれに関してはあの男とて覚悟は出来ていた筈でスv…まだ幼いあなたには解らないかも知れませんガvあの男のしたことは到底許されることではないのでスv」
 「……僕を師匠に引き合わせたことが、そんなに気に入りませんか?」
 …伯爵の言葉に…僕は…どうせ師匠との関わりが原因だろうと言う…
 …だからこそ…あの時も…もう師匠に会わないと言ったのだ…
 …正直…それで許して貰えると思っていたから…
 「…アレン…それは違いまスv…正直それだけならば、我輩も目を瞑ろうかと思ったのでスv…まあ…あれは…可愛いお前の為でもありましたからネv」
 「…え?…それ?…どう言う…」
 伯爵の言葉に僕は目を見張る…ずっと…てっきり師匠とのことが気に入らなかったんだろうと思っていたから…
 「…マナにハ…実は…もうずっと以前から裏切りの疑惑があったのでスv…それでモ…我輩は何度もチャンスを与えましタv…家族ですからネェv…でも…結局ハ…アレン…我輩はこれ以上はお前に話すのは辛いのでス…どうか解って下さイv…すぐには我輩を許せないと言うのなラ…どうしてもクロスの元に居たいと言うのなラ…それでも構いませんかラ……だかラどうカ…」
 …教団にだけは行ってくれるなと…哀しそうに…伯爵は言った…
 「…貴男が…師匠に手を出さないのなら…そして…僕の邪魔をしないと言うのなら…『家出先』をわざわざ変更するつもりはありませんよ…」
 …少なくとも現在(いま)の所は…そう付け足して言った…

                                            ―続く―