…下忍の任務が終わって…春野と山中がうちはを間に挟んで言い争いをしている…
…うちははうんざりした様子を見せている…だからそろそろ帰ろうとするだろう…
…それならようやく俺も帰れるな…
いつもと違うこと ―序章―
―第2話―
…何せ俺は一応あいつらの裏の監視兼護衛をじいちゃんから任されてるからな…
…まあ…そうは言っても…俺にだって部下はいるし、四六時中って訳じゃない…
…やつらの事はあいつらに任せて俺は影分身をおいて帰ってもいいが…
…少しだけ気になる事がある…
…木の上から『うずまきナルト』を監視しているはたけカカシ…奴の事だ…
…どうも暫く前から奴の『オレ』に関する監視の目が厳しくなった様な気がする…
…御陰で最近やりにくくって仕方ない…
…以前はじいちゃんの目があるからか…下忍の任務終了後の私生活まではそれほど覗かれてはいなかったのに…
…最近はどうやら暇さえあれば『オレ』を見張るつもりらしく…まったくウザくて仕方がない…
…あまりにやりづらいから俺はすぐにじいちゃんに言って『上忍・はたけカカシ』の下忍監督以外の上忍任務を増やして貰った…
…だが事はそれだけでは済まなかった…
…奴の上忍任務が増えてくれた御陰で、下忍の任務が終わり『オレ』が家に帰ると奴はすぐにそちらの任務の為に『オレ』を見張るのを止める様になった…
…正直これでやりやすくなると俺は喜んでいた…だが…
…その後ある問題が発生した…
…任務の関係もあってじいちゃんに頼まれて奴をある暗部の任務で『俺』の部隊に組み込んだ時だった…
…その任務では奴は殆ど俺と行動を共にしていたのだが…
…その時から奴は妙に『俺』に興味を示す様になった…
…その時は差程気にしてはいなかったのだが…
…後日…俺は…じいちゃんの親戚で、俺がガキの頃から良く知ってる(…まあ…いまでもガキだが…)『カカシセンセイ』の同僚のアスマから『カカシの奴が『噂の凄腕』の正体探っているから気を付けろ』と忠告された…
…一時は『オレ』への監視が酷くなったのはもしかして奴が何かに気付き、実際に『俺』に会って、その後『俺』の正体を探る内に『オレ』が怪しいと思い始めたのかもしれないと警戒したが…その後の奴の様子からどうも違うらしいと俺は判断を下した…
…だが…それでも奴の監視が厳しい事に違いは無い…
…そして奴が『俺』を探っているという事も…
…だから現在の俺は奴の目がある間は気が抜けない…
…迂闊に影分身と入れ替わる訳にもいかない…
…ホントに…何とかならないものかと思っている…
…まあ…今日の所はもう帰れるだろう…
『サスケ』の奴限界って感じだしな…
…クク…ホント解りやすい奴…
…ホントにあの『イタチ』の弟かね…
…思った通り…我慢の限界に達したらしい『サスケ』は舌打ちをし二人を冷たく振り切り無言ですたすたと不機嫌そうにその場を去って行った…
…そんな『サスケ』を二・三歩追い駆けかけて…ピタリと途中で『サクラちゃん』と『イノ』は足を止めて『オレ』を振り返る…
…これもまあ結局はいつもの事…
…何だかんだ言っても律儀な『サクラちゃん』はそのまんま『オレ』を無視しては帰らない…
…振り返って一言言ってから帰る…
…これがいつもの事…
…ところが今日はいつもと違った…
…『サクラちゃん』ではなく『イノ』が…
『サスケ』を追い駆けかけて…それから何かに気が付いた様に立ち止まると振り返り、すたすたとこちら…つまり『オレ』の方に歩いて来たのだ。
『イノ』のその様子に『オレ』に声を掛けようとしていた『サクラちゃん』は驚いて立ち止まり、『イノ』と『オレ』を呆気に取られた様子でそれぞれ交互に見てくる…
…だが実際正直これには俺も驚いた…まさか『イノ』が『オレ』に用があるとは思わなかったから…
…そして『オレ』は『オレらしい態度』で大仰に驚いて見せる…
…内心の…一瞬の動揺と疑問と僅かな警戒はおくびにも出さずに…
…そんな『オレ』に『イノ』が口を開く…
…どうやら『イノ』が今日此処に来たのは『オレ』に用があったかららしい…
…内容は…『イノ』の親からの伝言…
『山中花店』にじいちゃん経由で頼んでいた物…『火影様からの注文品』が、遅くとも明日の昼には総て揃うらしい…
…だけどそれが少し量が多いいので『イノの両親』が『イノ』にはよく解らないらしいが『『ナルト』にも関係があるものがあるから配達を手伝って欲しい』ということらしい…
『オレ』は「わかったってばよう!オレに任せとけってば!」なんて言って元気良くガッツポーズなんか取ってみる…
…そうやって『ドベ』を演じながら、内心では俺はまったく別の事を考える…
…それは…『イノ』が『ナルト』に伝言を伝えて来た事…
…いつもは…じいちゃん経由で頼んだ物は『山中』のおっちゃん達は『ナルト』に連絡を寄越したりしない…
…ましてや『イノ』に伝言を頼むなんて…これまで一度も無い…
…それに『量が多いいって』俺そんなに頼んで無いんだけど…
…もしかして…またじいちゃん何か企んでるのかな?
今度は『山中』のおっちゃん達まで巻き込んで…
…有り得る…な…
…何せ…あのじいちゃんだから…
…取り敢えず帰ったら…じいちゃんトコ行って伝言伝えてじいちゃんの態度様子見しよう…
…そう簡単に尻尾出すとは思えないけど…
…それでそれから今日の事務処理やってから暗部の任務に行こう…
…明日になったら何か分かるだろうし…
…まあ…明日は下忍任務無いし…
…でも…ホントは休みの日には、あんまり出歩きたく無かったんだけど…
…仕方ない…か…
…そうして騒いでる『オレ』を余所に『イノ』が「じゃあ明日お昼には家の店に来てね!」そう言って帰って行った…
…『サクラちゃん』も『オレ』に一声掛けて『イノ』を追う様に…否実際追い駆けたのだろう…『どう言う事か』を問う為に…
…『オレ』はそんな二人に大声を上げて手を振って見送った…
…『イノ』と『サクラちゃん』の後を追う様に木の上でずっと『オレ』を見張っていた『カカシセンセイ』の気配が遠ざかって行った事は…いつもと違うので少し気にはなったが…俺にはどうでもいい…と言うよりかなり歓迎すべき事態だったので俺はすぐにそれを気にするのを止めた…
―続く―