「それじゃあそろそろ行こうってばよ!」
 全員食べ終わった様だったので、俺はそう言って促した…
 …『やまなか花』の裏にある、搬入用の出入り口に、荷物は既に総て揃っていた…
 …火影邸には、俺と『山中』のおっちゃんと山中の三人で行く事になった、荷物は聞いていた通り、それなりの量があった…


 
いつもと違うこと ―第2章― 
             ―第1話―



 「…ねえ…これ…ホントに私達だけで運ぶの…」
 堆く積み上げられた『それ』を見て、山中は呆然とした様子で呟いた…
 「…ああ…取り敢えずは、そういう事になってる…」 
 「そんな〜!こんなに沢山あるのよ!これじゃあ何時終わるか、全然分かんないじゃない!」
 「まあそう言うな、一応火影様の所の庭師にも、手が空いてるようなら、手伝って貰える様に話してある」
 そう言って『山中』のおっちゃんは、ちらりと俺に視線を向け…
 〈…火影様の許可は頂いてる…お前次第だと言われた…良いか?〉
 …そう口唇の動きだけで伝えてくる…
 「ヤりぃ!庭師のおっちゃん達手伝ってくれんの!?なら早くすむってばよ!!」
 『オレ』はオーバーアクションで飛び跳ねて喜んで見せながら…
 〈…じいちゃんが良いって言ったんなら俺は別に構わないぜ、最低限は待機させとかないといけないけど、それ以外の奴で手が空いてる奴なら別に大丈夫だろ、俺が側にいるから、じいちゃんの警護とかは心配ないしな〉
 …やはり口唇の動きだけでそう伝える…

 …そうして『オレ』達はそれぞれ持てるだけの荷物を持って火影邸へと向かった…
  
 ―火影邸の前まで着くと『オレ』達は『裏口』の方へと回った…
 …この時裏口へと向かいながら『山中』のおっちゃんは山中に話し始めた…
 「イノ、これからはお前にも届けて貰う事もあるだろうから言っておく、火影様の『庭関係』の注文品を届ける場合は、その『届け物』の量に限らず、これから向かう『裏口』から入り、入ってすぐの所にある『離れ』に届けるんだ」
 「離れ?」
 『山中』のおっちゃんの言葉に、不思議そうに山中は問い返す…
 「…ああ…『庭師』もいつでもいるってわけでもないが…『離れ』には『大抵』『誰か』が『いる』…火影様の屋敷は広くて色々な者がそれぞれ様々な理由で出入りしている『大抵』の場合『母屋』と『離れ』には『誰か』が『いる』から『離れ』に『いる奴』に「『やまなか花』から『届け物』に来た」って言えば『庭師』がいれば、呼んでくれるかどうかするだろうし、いなければ預かってくれるから預ける事になっているんだ…」
 「おーい!おっちゃん!イノー!着いたってばよー!」
 …そんな風に『山中』のおっちゃんが山中に説明している間に『オレ』は一人先に駆けだして見え始めていた『裏口』の前まできて、手を振って二人を大声で呼んだ…
 …そんな『オレ』に山中が…
 「ちょっとー!なんでナルトが知ってるのよー!」
 …と怒鳴り…
 「あー…それはさっきも言ったけど、オレがちっちゃい頃から火影のじいちゃんちで、庭師のおっちゃん達の手伝いとかしてたからだってばよ!」
 …それだけ『オレ』は言って、直ぐに元気良く扉を潜りキョロキョロとしながら『離れ』目掛けて駆けて行った…

 俺が『離れ』に入ると直ぐに今日の火影邸付きの『庭師』(=『暗部・特殊極秘隠密部隊』―表向きの名称―)が俺の前に瞬身の術で姿を現し、片手と片膝を付いて跪いた…
 …それを見て俺は小さな声で幾つかの指示を下し、荷物を置いて『離れ』を出ると『ドベ仕様』で『離れ』の入り口で『山中』の二人を待った…
 …二人が来ると、『オレ』は二人に…
 「庭師のおっちゃん達向こうの縁側の方で仕事してるそうだってばよ!早く行こうってばよ!」
 …と言い…また『オレ』は一人駆けて行こうとして…
 「ちょっと待った!どうしてあんた荷物持ってないのよ!」
 …山中にそう問い詰められた…
 「…ああ!それはさっき二人が来る前に離れに入ったら、庭師のおっちゃんに会ったから、渡したってばよ!」
 …と答えて…『ズルい!』と『イノ』に怒られて『それなら荷物を持て!』と更に言われたので、その荷物(注・イノの分)を持って『庭師』が『庭仕事』をしている筈の場所へと三人で急いだ…
 
                                  ―続く―