―漸く『入城』の許可が下りて僕はやっと入れると思った…だが…それはぬか喜びだった…
…な…なんでですか…?…
僕は疑問に思った。
―だって…
…にゅ…入城するのに…まさかここまで苦労することになるなんて……
…そりゃあ…確かに…少しは覚悟してましたけど…(『門番』に『アウト』って言われた時点で…)
…でも…
…まさかここまでとは…
…なんでこの人…コムイさんが言っても聞かないんですかー!…
…確か…コムイさん…室長の筈ですよね!?…
…もうとっくになってましたよね!?…
…確か…前にそう言ってましたよね…!?…
僕は…白刃取りをしながら…結構混乱していた…
―『偽りだらけ』の『正式入団』―
―11―
…だけど結局…すぐに中に入れた。
―事態を収めてくれたのは一人の少女…
…僕の外見年齢より5つ程年上だろう黒髪の少女が両手に持ったファイルで『ぱこ』と青年の頭を叩き止めてくれたからだった。
―漸く入れた門の中へ…そして見上げる…久し振りどころか…実に6年ぶりの教団本部を…
…本部を見上げ…嗚呼帰ってきたんだ…と…僕は実感する。
…けれど感慨には浸れない…懐かしさは表情に出してはならない。だって『僕』は…『アレン・ウォーカー』は『初めて教団に来た』んだから…
…だから物珍しさで…目を丸くすることはあっても…懐かしさで目を細めちゃいけない。
『本部内部』へと入る前に…僕はもう一度深呼吸してそう自分自身に縛めた。
―続く―