…嗚呼…懐かしいな…
 久し振りの『本部』…沸き上がる『懐かしさ』を抑えつつも…それでもどうしてもキョロキョロと辺りを見回してしまう。

 …でもまあ…大丈夫だよね…
 …だって…初めて来た人間なら…絶対物珍しさで色々見てしまう。

 …だから僕が『注意』すべきなのは、『僕自身』の『表情』。

 僕は『懐かしさ』で見てるんじゃない。『物珍しくて』見てるんだ。
 そう『自分自身』に『言い聞かせ』てそういう『表情』を造った。

 ―そしてそれに気を取られていたからうっかり忘れていた…

 『入城』する前に…『左腕(イノセンス)』を『破損』していた事を…


 
―『偽りだらけ』の『正式入団』―
                  ―13―
 


 ―前を歩くコムイさんに僕はついて行く。

 …キョロキョロと『物珍しそうな表情』を造って、そして辺りを見回す。

 …僕の現在(いま)の外見年齢(みため)は『11才か12才』ってトコだ。そんな子供が…ティムキャンピー(ゴーレム)の存在を知っているとはいえ『魔術』と関わりなく育った『普通の子供』が…しかも『学も何にもない孤児』が…『教団(こんなトコロ)』にいきなりなんの予備知識も持っていないのにやって来たのだ。奇妙しいと思われないよう…違和感を持たれないよう…『年齢相応』の『子供らしく』しないと…
 そう思いながら歩いていた為か……

 …………

 …それとも…単に…僕が…方向音痴で…だから…すっかり…忘れてしまっていたのか……
 …………

 ……えっと…まあ…その…6年…振り…くらいだし……しょうがない…ですよね…ハハハ…

 …問題は…現在(いま)のこの『危機』をどう乗り切るか…
 そう思いながら…ともすればフリーズして現実逃避とかしたくなる。

 …だけどっ…この目の前に直面した『危機(ピンチ)』を乗り切る為には『現実』をしっかり見据え無いとっ…!…
 そう考えて顔を上げて『その部屋』を見る。

 『演技』をするのは忘れないよう…そう心がけつつ…

 ―『連行』された『悪夢の手術室』に僕は視線を巡らせた。 


                                       ―続く―