「リナリー!」
 準備をしてるリナリーに、コムイさんがそう声を掛ける。
 「なぁに?兄さん?」
 作業をしながらリナリーが少し振り返ってそう問い返す。
 …あっ!やっぱり『彼女』は『あの子』だったのか…
 振り返って返事をしたリナリーに、僕はそう思う。
 「ちょっとアレンくんと『大事な話』があるから…悪いんだけど少し出てて貰える?」
 「…いいけど…兄さん大丈夫なの?アレンくん人間かどうかまだ検査してないでしょ?」
 振り返ったリナリーにコムイさんが『入り口』の方を指差しながら言った『言葉』に、リナリーが少しだけ心配そうにそう問う…

 …って…僕…まだ疑われてるんですか…?…
 リナリーの『言葉』にそう思っていると…
 「ん?大丈夫大丈夫v『人間』だから♪」
 コムイさんが軽い調子でそう答え…
 「どうして?」
 コムイさんのそのあっさりとした『答え』にリナリーが不思議そうな表情(かお)で問い返した。

 ―そのリナリーの問い掛けにコムイさんは…

 ―「この世界で 呪いなんて受ける種族は 人間だけだからだよ」―
 そう少し昏い表情で言った…

 ―そして…リナリーは『手術室』を出て行った…


 
―『偽りだらけ』の『正式入団』―
                  ―17―
 


 …なんとか上手くいったみたいだな…
 そう思って僕は胸中でホッと安堵の息を吐き掛けて…

 …でもまだだっ…!…
 そう思う。

 コムイさんに『あのこと』をこれから話すのなら『イノセンス』を『真実(ほんとう)』の『意味』で『発動』する『必要』がある。

 …だから…

 「…その…その前に…そこの扉閉めてもいいですか…?」
 僕は控えめにそう聞く…

 …未だ僕が『人間』かどうかも『怪しまれてる』と承知しているから…

 …けれど…僕の『イノセンス』の『真の姿』を不特定多数に見られる訳にはいかないから…(…だって…『そんなこと』になったら『これまでの苦労』が水の泡だし…)
 そう思って…

                                       ―続く―