―白銀の不思議な光沢を放つ『マント』…首もとにぶら下がるのは奇妙な細工のなされた『仮面』…そして長く鋭い『爪』を持つ異様に細い、黒い光沢を持った『左腕』…
…その『姿』は…髪の色こそ違えども間違いなく…
「…クラウンくん…?…」
その目の前の『少年』の『姿』に…コムイは目を瞠りポツリと呟く…
―『クラウン元帥』…『白い道化(クラウン)』の装束を纏い常に『仮面』を身につけているため、極一部の限られた者しか素顔を知らぬ隻腕の『臨界者』…
…『黒の教団』最年少の…そして『非公式』の『6人目』の『元帥』…
…『彼』の『イノセンス』は…多くの者には『大剣型』の『装備型イノセンス』だと思われている…
…だが…コムイは知っている…
…多くの者に…『単なる衣装』だと思われている『それ』こそが…
…『教団』でも一部の者しか知らない…『彼』の『イノセンス』…
…『爪(エッジ)』と『剣』…二つの形態に『左腕』を変化させ…『白い』マントと仮面を纏う…『鎧』の『イノセンス』…
…それが『神ノ道化(クラウン・クラウン)』と呼ばれる『彼』の『寄生型イノセンス』なのだと…
―『偽りだらけ』の『正式入団』―
―19―
「…驚いたよ…まさかキミが……で?『アレンくん』?その名前は?本名?偽名?」
…クラウンくんは任務の関係でよく偽名を名乗るからなー…そう思いながらボクは問う…
問うたボクに…『アレン・ウォーカー』…そう名乗った『少年(かれ)』は少しだけ弱ったように微笑して…
「…任務の途中でちょっと事故があって…僕数年間記憶喪失だったんです…その時に僕を拾って育ててくれた養父が…付けてくれました…」
そう言って『彼』は笑った…
…けれどその笑った『彼』の笑顔は…嬉しそうだったけれど…どこか寂しげで…どうしたんだろうと思いつつも…同時に一時連絡の途絶えていた原因(りゆう)を知り…ボクは確認の意味も込めて口を開く…
「…記憶喪失…そっか…それで3年間連絡が途絶えてたんだね…」
「…ええ…」
ボクの言葉に…『彼』…アレンくんは頷き…
「…記憶が戻ったのは…父を亡くして…そして…その…」
そして少し言い難そうに言い淀む…
「…どうかしたの?」
…言い淀むアレンくんを不思議に思い…ボクは促す…
「…その…実は…父をうっかりアクマにしちゃったんです…」
促したボクに…アレンくんは少し迷った後に…ポツリとそう言い…
「…だから…僕…『呪われてる』んです…」
…そう言って…左側の前髪を少し手で避けて…その額に刻まれた『ペンタクル』をボクに見せた…
―続く―