「…『隻腕の元帥』…『道化の元帥』と並ぶ『クラウン』くんの『二つ名』だよ」
 後頭をバリボリと掻きながらどこか言い難そうに言ったリーバーの『言葉』に対し、あっさりと背後からの声がそう言った。 
 

 
―『偽りだらけ』の『正式入団』―
                  ―4―
  


 『しっ!室長っ!』
 背後からの唐突な声に振り向くと其処には、銀色の薔薇十字(ローズクロス)を左胸に掲げる白い団服に、ベレー帽を被った特徴的な巻き毛髪に眼鏡を掛けた、長身のアジア人男性がいた。
 「…でクラウンくんがどうかしたのかい…?…それにさっきからなんか騒がしいし…」
 科学班・班員達に『室長』と呼ばれた彼が温かそうな湯気の出ているマグカップ片手にやって来てそう言う。
 「コムイ室長…」
 『室長』の『言葉』に、彼を椅子越しに振り仰いでリーバーがそう呼び…
 「兄さん…」
 『外』の様子を映す『ホログラフ』の傍で…その映像を先程まで覗き込んでいた、黒い団服を着て長い黒髪をツインテールにしたやはりアジア人の少女がそう呼び…
 『……』
 二人共に無言で『ホログラム』を指差す。

 「……ん〜…」
 無言で指差された『ホログラム』をコムイは暫し見つめ…

 ―「なんだいこの子は!?」―
 訝しげな表情(かお)でそう言うと…
 ―「ダメだよ 部外者入れちゃあ〜〜〜〜〜〜 なんで落とさなかったの!?」―
 右手で眼鏡を直しながら軽い口調でそう続ける。

 そしてその続けられた言葉にリーバーは少し困ったように眉を顰め…
 「……あー…それなんスよ…室長…それが…なんか微妙に部外者っぽくないって言うか…」
 ―「ここ見て兄さん」―
 困ったように言い淀むリーバーの言葉を引き継ぐように少女が『ホログラム』が映し出す『映像』の一つを指差し…
 ―「この子 クロス元帥のゴーレム 連れてるのよ」―
 …『正確』には…其処に映る『白い髪の少年』の傍を飛ぶ『金色のゴーレム』こと『ティムキャンピー』を指差して…そう言った。

                                       ―続く―