―…「…今日から…私とアレンがいる場所が…私達の『家』だ…」…
…そう言って僕に『愛』という感情(モノ)を教えてくれたマナ…
…そのマナが…『あの日』死んだ…
…遠い…異国で…
…あの…東の国で…
―『孤独の恐怖』と『希望の光』―
―3―
―…マナ…
…正直…『あの時』のことは正確には覚えていない…
…思い出したくない…憶えていたくない…そういう気持ちもあるのかも知れないけれど…
…敢えて思い出そうとはしなかった…
…『あの時』のことを思い出すのは…『僕』の『闇』を刺激することになるかも知れないから…
―「…大変だよ!キミのお父さんがっ!!…事故にあってっ…!!死にそうだってっ…!!」…
…憶えたばかりの…遠い異国の言葉…早口で捲し立てられた『それ』…
…聞かされた言葉の衝撃に…あの時『僕』の頭は真っ白になっていた…
…だから…言われた言葉の半分も理解出来ていなかった…
…否…理解…したくなかった…
…暫く生活することになるからと…マナに教えて貰ったその国の言葉…
…英語とまったく異なる…言語形態だったけれど…マナが教えてくれたから…日常生活には十分困らなかった…
…だから…半分も理解出来ていなくても…
…『あの時』僕は嫌と言うほど感じていた…
…それは…喪失の予感…
…そして…僕は…
…漸く得た『光』を…失い…
…また…誰にも必要とされない…いらない子に戻った…
―続く―