『奥』
または
『奥門』
その宗家『渦巻』家
そしてその筆頭分家『斉樹』家
…それが…その『家』
木ノ葉の名家―3―
…サラサラサラ…
文机に向かいナルトは書き物をしていた…
…その筆が不意に止まる…
「…来たか…にしても…この気配…ヒアシ…やはり連れてきたのか…」
…筆を置き…暫し瞑目…
「……逃げる…か?…」
『なりません(よ)若君』
ナルトが小さく呟くと、即座に二人分の声がその場に響いた。
「!ゲッ!ビャクエ!コクイ!いたのかっ!」
その場には姿を現さぬ己の後見役に叫ぶ。
「御意、若そろそろ観念なされませ」
「若は奥門統主『奥継・渦巻鳴門』を継ぐ身にございます」
『奥継(おくつぎ)』とはまた『遺継(おくつぎ)』とも書く、『奥伝継承者』そして『遺産継承者』それが『おくつぎ』…
…『継承者』であるナルト否『成人(ナリト)』は、解ってはいた、周りが焦る理由を、先代である父親は既に亡く、当代である自分はまだ子供で力量不足、本来後見筆頭となる筈の筆頭分家の『斉樹宗家・当主』は不在、本来なら真っ先に当主補佐なり代理なりが回ってくる筈だった『成人』の母『花成』は現在病院で療養中の為それが出来ない。
…現在『うずまきナルト』は狙われている、そして里内では僅かながらも徐々に認められ始めている。
…そしてナルト自身は危険な暗部に所属している…
煩い年寄り連中(注・ナルト視点)が余計な心配(注・ナルト以下略)をしているということもナルトには解っていた。
…だが…
「だっ!だからってなんでヒナタやイノなんだよ!あいつらなんにも知らないんだぞっ!」
…相手の言葉が正しい事は解ってはいた…だがナルトもやはり簡単には譲れない…
…あの二人が嫌いなのではない…むしろそれなりに大切に思っているからこそ、譲れないのだ…
「兎に角本日、日向当主とお会いになる約束は、他ならぬ若ご自身がなされたこと、反故になさるのは許されませんよ」
「……ちっ…わかったよ…解りましたよ叔父上方」
…そう言ってナルトは覚悟を決めた…
…それでもなんとか誤魔化せないかなあなどと考えながら…
―続く―
―あとがき―
お待たせしてしまいました、申し訳ありません、RINです<(_ _)>
ようやく久し振りにS・Dシリーズ本編エピソードです。
…ここ最近はずっとリクエストの番外編ネタばかり書いていましたから…ハハ…
…本当に申し訳ありません<(_ _)>
―人物紹介―
ビャクエ:『うずまきビャクエ』戸籍上の『うずまきナルト』の叔父その1、本当の繋がりは父親の従兄弟、で後見人その1、また『いつきシラセ』と言う名前も持っている。ちなみに年齢は30才。
コクイ:『うずまきコクイ』戸籍上の『うずまきナルト』の叔父その2、ビャクエ・四代目とは従兄弟同士、ナルトの後見人その2でもある。年齢は29才。
ナルトは上の二人を言い負かされたりなどした時に、皮肉を込めて『叔父上』と呼ぶ。
花成:本名『斉樹花成』ナルトの母親で四代目火影夫人、三代目の姪でもある、猿飛アスマの年上の従姉妹にあたる。
『渦巻鳴門』:『斉樹』の本家である『渦巻』家歴代当主『奥継』継承者『奥門統主』に受け継がれる名前。表向きは火の国にある『本家』にいることになっている…
『奥門』:『渦巻家一門』現在は『木の葉の奥』と呼ばれるその一族の事『奥一門』ともいう。
『統主』:誤字に非ず、ここだけの造語。数々の分家を有する『奥門』総てを統べる総本家当主に対する特別な呼び名。
…今回は随分ネタバラししました…
…何れその内どこかにまとめようかなーと思っております…
―それではまたの機会に―RIN―