―アメリアさんがリナさんを捜していたとは…一体どういう事でしょうね…セイルーンで何かがあったと言う様な報告は入っていませんし…
…アメリアさんの言ったリナさんを捜していた理由…「神託の事」とはどういう事なんでしょうね?
…まずは少し様子を見ましょうか…
…それにしても…あれからどれほども経っていないと言うのに…やれやれ…
…リナさん…あなたもつくづく大変な人ですね…
虚無の欠片 ―7―
「…神託?」
神託の事であたしを捜していたというアメリアのその言葉に、あたしは僅かに眉を顰める…
どんな神託が下ったのかは知らないが、現在(いま)この時期にアメリアがセイルーンから離れこんな所までやって来るのは少しおかしい…
それにそれだとあたしを捜してわざわざ旅に出るというのは妙な話だ…
仮に神託があたし絡み、或いは何か神託の事であたしに相談なり話しなりあったとしても、わざわざ捜して旅に出ると言うのはおかしな話しだ…
ただあたしに話しや用があると言うのなら、各魔道士協会の方に連絡をし、あたしが訪れたら連絡を取りたがっていたと伝えておけばいいのだ。
わざわざ何処にいるのか分からない旅の魔道士を追いかけて旅をするよりは余程早くて確実な方法である…
ちょっと大げさな手段ではあるが…だがこの時期にセイルーンのデーモン討伐隊陣頭指揮者である王女(アメリア)が自ら捜して旅に出るよりは余程マシである…何かが起こっている、或いは起こると言うのなら尚更…(いまアメリアがたとえ忍びでも旅になんぞに出れば人心は揺れるだろう…幾ら豪快でも、あのフィルさんがそれを判らないわけは無い!)
それなら…アメリアは…
…そんな事をつらつらと考えるあたしを余所に、アメリアの話しは続いていた…
「…ええ…その神託はある日突然…ある一定以上の能力(ちから)を持つ総ての巫女に下されました…」
その言葉にさすがのあたしも驚く!!
…ある事実(こと)を知っているが故に…
…あ!ゼロスも意外そうにしてる…
…って事はゼロスも知ってるのか…やっぱり…まあ…ゼロスは魔族だし…別におかしくも何ともないけど…
『ちょっ!!総ての巫女って!!!』
今度はあたしとゼロスの声がハモル!!
驚くあたしとゼロスの様子に、その勢いに圧されたのか…或いはただ単に予想以上の反応であったが為だろうか…アメリアは僅かに戸惑った様子で話しを続けた…
…あ!ゼロスがこっち見てる…もしかして気が付いたかな?あたしがあの事を知ってるって…
「はっ!はい!!総てですぅ!!でもリナもゼロスもどうしたんですか?そんなに驚いて?確かにこんな事前例がありませんけど…何か…そこまで驚かれるとすごく意外です!」
「どういう意味よ!!」
「だって…リナ…これまでにも散々色々あったじゃない!」
「うーそれはそうだけど…まあそれよりそれじゃあその神託ってどういう内容だったの?急ぐんじゃ無いの?」
何かに気付いて疑わしげにあたしを見るゼロスを余所に…
あたしは…あたしとゼロスの様子に意外そうな表情(かお)のアメリアにこれ以上追求される前に…本題に入るように見せかけて、話しを逸らした…
…幸いそれはゼロスにとっても都合が良かったらしく、ゼロスも何も言って来なかった…(尤もゼロスの方は後で何か言って来るかも知れないけれど…)
「そうですね…じゃあ取り敢えず内容だけ…」
―アメリアから神託の内容を聞くとゼロスは蒼白になってその場を立ち去った…(人目を一応気にしたらしい…)
…あたしは…その神託の内容を聞き何故アメリアがここにいるのかを理解した…
「…取り敢えず…この話はまた後で合流してからゆっくりしましょう…あたし達この先の村にある宿に泊まってるから…そこで明日の朝待ってるから…」
「えー!一緒じゃ駄目なんですかー?」
そう言って、少しアメリアがふくれる。
「だって…あんた誰か連れがいるみたいな事言ってたじゃない、ならあんたも夜中に宿を抜け出して来たって事でしょ?」
「まあーそうですけど…」
「それじゃあ…セレーネ…あなたは旅の途中だったみたいだしまだ今夜の宿は決めてないのよね?」
アメリアとの話しをそこで打ち切ると、あたし達に遠慮でもしたのか、少し離れてあたし達の話しが終わるのを待っていたセレーネを振り向きそう聞く。
「はい…なかなか良い宿がなくて…今夜も野宿かと思っていたんです…」
セレーネは頷いてそう言った。
「そう、ならあたしの泊まってる宿でも良いわよね、じゃあ話しはそこでしましょうか」
「はい」
それだけ言って小さく頷いたセレーネに少しだけ待ってもらい、盗賊達のお宝を没収しあたし達は宿に向かう事にした…
―ちなみにアメリアに宿がある村はどこかと聞かれ、話してみて分かった事は…
アメリア達が泊まっている村はあたし達が泊まっている村より僅かにベゼルドよりの、すぐ隣の村だったという事だった…
―そうして宿に向かおうとした(途中まではアメリアも一緒に…)その時…複数の足音と気配に振り向けば…遠く幾人かの人影と微かに聞こえるガウリイの声…そしてそれを追う様によく知った男女の声が聞こえ…
…そんなあたしを訝しんだのか、どうかしたのかと言いかけ、あたし同様彼等に気付き、アメリアが嬉しそうな声を上げて両手を頭の上でぶんぶんと振り、あたしもまた片手を上げあたし達を呼びながらこちらへと向かって来る彼等に応える…
…アメリアの様子から何故ここに彼等がいるのかも大凡判る…多分アメリアの連れとは彼等の事だったのだろう…(…まあ…神託の内容を考えれば少しもおかしな事では無い…特に彼女なら…彼は別として…だけどアメリアの様子から彼も一緒だったんだろう事は容易に想像出来る…アメリアの態度は偶然の再会を喜んでいる様には見えないから…)
…何時どういう経緯で彼等が再会し、共に旅をする事になったのかは分からないが、一つだけ分かる事がある…
…それは彼等の旅の目的地(取り敢えずのものは…)は、あたし達と同じだと言う事だ!
―続く―
―あとがき―
L:みんなこんにちは!(にこやかに手を振るL)
RINの奴がついさっき不幸な事故に遭って、
緊急入院したから今日はあとがき(ここ)の事はあたしに一任されたから…
そうね〜それじゃあ♪
出よ部下S(パチンッと指を鳴らすL)
部下S:ハッ!ここに!!(大慌てで出てくるLの部下その一)
L:部下Sあんたちゃあーんとお仕事してるんでしょうね♪
部下S:ハッ!ハイ!それはもちろん!!
L:へー♪そうなの?でもそれならどうして復活した分身が人間に滅ばされ挙げ句、
次に復活したのが人間と同化して、
しかも意識の主導権持っていかれるなんて事になったのかしら?
おまけにその分身も同じ人間に滅ばされたわよね〜
それも自分の力でvあれってある意味自殺なんじゃないかしら?
仮にも魔王が自殺だなんてあんた随分情けないわよね〜v
ああそれとあんたの部下!なんていったかしらあいつ?冥王・フィブリゾだったかしら?
たとえ気付いて無かったとはいえ、あたしに攻撃を仕掛けるなんて!
あんた部下にどうゆう教育をしてるのかしら?んっんっんっ!
部下S:ああ!L様それはその〜…
L:返事が遅いっ!!
シュッ!ブン!ザシュ!!(大鎌を取り出し!振りかざし!切り裂くL!)
部下S:…す…スミ…マセン…L様…
L:…で?(にこりと微笑んで促すLに何故か怯えるLの部下)
部下S:L様人間と申しますが!
ですがあの人間・リナ=インバースはただの人間では…
(だんだん声が小さくなり、顔色も悪くなる)
L:そんな事は知ってるわよ!それよりあたしが言いたいのは!
あんたがその事をちゃあんと解ってるのなら、
どうしてあんたの分身も、あんたの部下も彼女と戦ったのかって事よ!
部下S:そっ…それは…あの…水竜王の封印のせいでどうもうまく意志疎通が出来なくて…
L:フ〜ン♪って事はやっぱりあんたの怠慢が原因なのね〜♪
部下S:…ア…アノ…L様…何故にその様に嬉しそうに鎌を振っておられるのですか…
(何故か恐々とした様子で聞くLの部下)
L:そんなの決まってるじゃない♪今日のあとがきは部下(あんた)のおしおき大会だからよv
(言って大鎌を振りかぶるL)
部下S:そっ!そんなァ〜(大泣)待って下さいL様ー
L:イヤv待たないv
…あっ!そうだ♪(パンっと手を叩くL)
ネェ♪あなたも裏方(そんな所)でナレーションなんてしてないでこっちに来て一緒にやらない?
謎の声:あらvいいの?あなたのお楽しみでしょv(何処からともなく響く楽しそうなアルトの声)
L:あら♪一人より二人の方が楽しいでしょうv
謎の女:それもそうね♪(そう言って何処からともなく姿を顕す銀髪の女)
L:あら今日は銀の方なのね♪
謎の女:ええvだってこれからおしおきなんでしょう?
L:ええ(にっこり)それじゃあ始めましょうかv(大鎌を振り上げるL)
謎の女:そうね♪(クスリと笑んで白銀の杖から銀色の光の鎌を創り出す)
部下S:えっ!?ええええええ!?(展開についていけない様子の部下S)
―ザシュ!!ザシュ!シュ!!ボシュ!!
…そして大急ぎで幕が引かれる―
RIN:…ウウ…前回…結局あの後捕まって…
…その後なんとかL様を説得し命からがら生き延びる事に成功したRINですm(_ _)m
…ですが…逃げ出したのが原因か小細工を弄したのが原因か…
あとがき会場に来る前に不幸でとても恐ろしい事故に遭ってしまいました…
(どんな事故かは恐ろしくてここでは言えません…)
…えーもう時間がないので次回予告だけ…
次回は…今度こそようやくセレーネの問題発言の真相が明かされると思います…(また弱き…)
―えーでは皆様ここまでお読み下さり有り難うございますm(_ _)m
―それではまた―RIN―
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