―巡り会い―(正月・日記バージョンその5)
注・この話は封神演技の間・長編小説の棚にある現代物小説・巡り会いシリーズのお正月・会話形式の駄文です。
―後見人と放蕩息子(義理の父子の会話その2)
「呂望!!」
「息せき切ってどうした?姫発よ、おぬしまさかこれからここを抜け出し邑姜に恥をかかせるつもりではあるまいな?」
「なっ!そんな事するかよ!」
「ほう!残念だのう!此の期に及んで逃げ出す様であれば、邑姜や姫昌が何と言おうとも、この婚約を破談に出来たのだがのう」
「なっ!お前!そんなに!そんなに俺が気に食わないのか!許す気なんか無いのかよ!」
「何を今更、姫発よそのようなこと分かり切っておろう、許すも何も、わしも伯陽もただの一度も許す等と言っておらぬぞ」
「そうかよ!じゃあやっぱりあれは邑姜の勘違いかよ!くそっ!どうせお前は俺なんか一生認めやしないんだな!よぉく分かったよ!」
「邑姜?邑姜が何を言うたか知らぬがわしが今日ここに来たのは姫昌たっての願いであったし、それに邑姜の身内が一人もおらぬではあやつがあまりに哀れだと思ったからだ、わしが来ねば伯陽も来ぬからのう」
「伯陽?てっ事は、あいつの義理の親父さん来てるのかここに!?お前が連れて来たのか!?」
「勘違いするでないぞ、さっきも言ったが、邑姜の為だ、身内が一人と言うのも何だしのう、それにわしはずっと邑姜の側におるわけにはいかぬからのう」
「そうか!分かったよ!くそっ!!」
「姫発!逃げるのならば精々早めに逃げるのだな!邑姜に恥をかかせずにすむうちにのう!」
「………」
「…やれやれ…あの様子ならばあやつはまだ気付いてはおらぬのう…」
「…それに…あれだけ言えば…まあ直前になって逃げ出したりはせぬであろうし…あの事に気付く事もなかろう…」
―続く―