「三代目」
 三代目の問いに対しそう呼び掛けることで名乗りを上げたのは銀髪の少年…
 「…カカシか…何か聞いておるのか?」
 小さく頷いて…少年…カカシは口を開き…
 「…四代目…いえ…先生は…奥方の名前を取って名付けたいとそう言ってました…」
 …そうして…その時のことを…思い返しながら…話し始めた……

 
 
名付けの意図―1―



 『……やっぱり…………………人に…なって欲しいな……』
 『え?あの?先生?いまなんて……?』
 ―…あの時…確かに一瞬先生がなんて云ったのかが解らなかった……
 『……んー?…ああ………幸せに…なって欲しいなって…ね…』
 『…どうしたんですか?先生?…今日は…なんか…』
 ―…『それ以上』は聞けなかった…先生がその日不機嫌だったことは知っていたけど…『それ』以上に…『その時』の先生の雰囲気が…どこか重苦しくて……
 ―…でも…だからこそ…『あの時』聞いておけば良かったのかも知れないと……

 ―…いまごろになって悔やんでいる…自分がいる…

 ―…聞いたところで…どうにもならなかったのかも知れないけれど……


 『……ねぇ…カカシ君?…』
 『…へ?』
 『…もう!「へ?」じゃないよ!聞いてたの?僕の話!!』
 『…あっ!ああ!はい!勿論…ええと…「ナルト」と「ナリト」でしたっけ?』
 『うん!そう!…どっちがいいかな〜?って思って…字はね…さっきも見せたし、言ったけど……「為すべき事を成す人に」て言うのと…それから…カナちゃんの名前から一文字取って…―成人―この字を使おうかな〜って思ってるんだけど…読みをね…どうしようかって…』
 『…?…何か問題でもあるんですか?』
 『…カカシ君…僕が孤児院生まれなのは知ってるよね?』
 『…え?ええ以前(まえ)に聞きましたから…』
 『…それで僕がラーメン好きなのも知ってるよね?』
 『…先生?…まさか?』
 『…それでその孤児院の通称がね…あくまで通称だよ!通称!』
 『先生!もしかしてナルトって…』
 『うんそう!カカシ君大当たり!「鳴門園」って言うんだよ!』
 ―「…凄いねーよく解ったねー…」そう言った師の言葉に頭が痛くなったのを覚えている…
 『…それで…先生がラーメン好きだって言ったってことは…』
 『うん!だから「ナルト」にしようかな?って思ったんだけど…なんかみんなしてダメだって言うんだ酷いと思わないかい?カカシ君?…あれカカシ君?どうしたの?』
 『…ひ…酷いのは先生の方です!なんですか『それ』は!ラーメンが好きだからなんて!そんな理由で名付けたなんて知れたら!大きくなってから御子が苛められたらどうするんですか?先生嫌われますよ!いいんですか!?』
 ―…多少オーバーかもと思ったが…こう言えば先生はショックを受けて思い直すだろうと思ってのことだった…
 『…き…嫌われる…そんな…そんな…もしかして…だからみんな「ナリト」がいいって言ってたのかな…』
 (…「もしか」じゃなくて…たぶん百%だと思うんですけど…)
 『…先生…さっきからみんなって言ってますけど他にもこの話をされた方がいるんですか?』
 (…なんか…さっきは相談する相手がいないって言ってたような…)
 『…え?…あー…うん…ちょっと前にね…そんな話を何人かとしたんだけど…そうか…そうだったのかー…それじゃあ…仕方ないかな…うーん…でも…うーん…』
 ―…その後先生は僅かに俯いて腕を組み、ウンウン唸っていたが暫くして顔を上げ…
 『…やっぱり…カナちゃんに相談しよ…』
 『…奥方様にはまだだったんですね……』
 『……だって…する前にみんなに妨害されちゃったんだもん…』
 ―…ふてくされたような師のその言葉にやばいと思ったオレは…
 『先生!あのそれじゃあもう話は終わりましたよね?あの実はオレこれからアスマと約束があったのを思い出しましたので!失礼します!!』
 ―…そう早口で述べて急いでその場を立ち去った…
 ―…その場を逃げ出す口実に約束をでっち上げたアスマには…後で何か奢ってやった方がいいかも知れないと思った……

                                       ―続く―

 ―お知らせ―
 2005年02月11日(PM)付けを持ちまして、本文を一部改訂致しました<(_ _)>

 WJ本誌に掲載されました、NARUTOのカカシ番外編『戦場のボーイズライフ』にて、この『名付けの意図』1がUPされました時点では謎でした、カカシの親友オビトと彼の写輪眼移植に纏わるエピソードが掲載されました。
 しかし当時はこのエピソードについてはまるで謎であったため、エピソードを捏造しようかと思い、その伏線のつもりで第2話以降でオビトくんを出すべく、この1でも最後の数行に名前だけ出しておりました。
 そして『戦場のボーイズライフ』読後、正直この後の展開をどうしようかと暫し悩みました。
 (…当初の予定のまま書くか、それとも?と…)
 …ですが今回に関してはまだこの部分だけで、捏造設定を崩したとしても大筋は何も変わらない、否もしかしたらもっと面白い展開にできるかも知れない、と思ってしまい、結果変更を加える事に決定致しました。
 
 ―申し訳ありません<(_ _)>

 ―ちなみに変更箇所は、人物名を『オビト』→『アスマ』にしただけです。
 ―それ以外は変更しておりません<(_ _)>

                        ―それではまたの機会に―RIN―