「…どうなるかは『その時』の状況によりますガ…ですガ…『アレン』の『心』が深く傷つきそして『眠り』についたなラ…その『眠り』は『人間』の『死』と『同じ』…『目覚め』は『転生』と変わらなイ…喩え『肉体』は死なずとも…『思い出』は失われル…だから『アレン』は『7000年』経って『目覚めた』時…『肉体』は『赤子』に戻り『記憶』もまた失われていたのでス…v…」
ティキの問いに、千年伯爵は答える。…切なげな眼差しで『アレン』を見つめて…
「…けれド…v…」
そう言いおいて伯爵は『アレン』の頭を撫でる。
「…我輩は『それでも』構いませんでしタ…v…『この子』が我輩の…『ノア』の『半身』の『化身』であることに変わりありませんカラ…v…」
愛おしげにその顔を見つめ、髪を梳いた。
―『ノア』の『望み』―
―19―
『アレン』を悲しみと愛しさとが入り混じった眼差しで見つめて千年公はその頬や髪を撫でる。
「………………ただ……」
そして暫しの沈黙の後そう呟く…
「…『今回』の『アレン』の…特に『7000年前の記憶』に関しては…また少し『事情』が異なるようなのでス…v…」
……え…?…
千年公のその言葉に、僕は顔を上げ…
「…千年公…その話は僕も知らないよ…?…」
…『アレン』のことは…僕には全部教えてくれてると思ってた…
そう思い問うと…
「…エエ…v…この話はロードにもしていませんでしたネ…v…」
そう言って千年公が頷き…
「…なんでっ…」
「…済みませン…v…ですが我輩にも…ずっと『確信』が持てずにいたのでス…v…」
『何故』かと問おうとして言い掛けた僕を、千年公がにっこりと微笑って謝りそしてそう言う…
…え…?…千年公が…?…
千年公のその言葉に僕は驚いて目を見開く。
そんな僕に苦笑して…
「……我輩と『アレン』は…『ノア』の『光』と『闇』であり、『クロノ=クラウン』の…『始まり』と『終わり』の『体現』であり『象徴』でもありまス…v…」
…そんな話…僕はとっくに知ってる…
「千年公っ!それはもう知ってるよっ!」
…元々『2人』は『ノア』と言う『1人』…ううん『一柱』の『存在』から『分化』して生まれた『存在』だった…
…だから…
「ですかラ…v…」
僕の胸中での呟きとほぼ同時に千年公が言う…
「…我輩と『アレン』は…『ノア』と言う名の元々『一柱』の同じ『存在』であるが故に『同一』の『魂』を有しその『根元』は繋がっていまス…v…」
…そう…だから『アレン』と『千年公』との間に『嘘』や『隠し事』は殆ど意味を為さない…
…だからこそ驚いた。千年公が知らなかったと言う事に…
「…ですが我輩達はその全てを『共有』しているわけではありませン…v…と言うより我輩達は『ノア』が『一柱』で背負いきれなくなった『モノ』を『分担』する為に『存在』していまス…v…」
そう言って千年公は「先程も話しましたがネv」と付け足して…それからとても悲しそうに顔を歪め…
「……けれど…『それだけ』ではありませン…v…我輩は…」
そう言って千年公はもう一度『姿』を『戻す』…
…『千年公』…否…『ノア』の『本来』の『姿』…
…白い髪に白い肌…そして紅い瞳に…『アレン』によく似た顔の…その『姿』に…
「……先程…ロードが言いましたね…『私達』は『人間』に裏切られて…だから『私』は『人間』を見限ったと…」
そう言って『千年公』は自嘲気味に微笑って…
「……『事実』は少し違います…」
「…え…?…」
『千年公』の言葉に僕は目を瞠る。
「…『私』は…逃げ出したのです…その『使命』から…耐えられなくなって…あまりに辛くて…『2人』で一緒に担っていた筈の『使命』だったのに…『私』は耐えられなくて…『彼』を…『兄さん』を『独り』おいて…『独り』で逃げ出したのです…」
『千年公』は顔を両手で覆って泣きながらそう言った。
―続く―