「…『彼』は『人間』を諦めず。むしろ『守る為』に…『私』がその『使命』を『放棄』した分も『独り』で背負おうとして…『力』を『限界』まで使って…その為に…より『人間』に近付き…『存在』を『変質』させてしまったのです…」
―淡々と『私』は話す…
…『子供達』が目を見開いて『私』を見る…戸惑っている者から…ただただ呆気に取られている者まで…しかしその視線は『私』に集中している…(…時折…『アレン』に向けられる事もあるが…)
…ちなみに戸惑いにその瞳を揺らしているのはロードだ。
…無理もない…彼女にさえこの話はしていなかった…
…『ノア』の『子供達』の…『誰』にも…
…そしてその『理由』もまた…『私』の『弱さ』だった…
…知られたくなかったのだ…『私』の罪深さを……
…けれど…
…ああ…けれど…
「…………どれほどぶりにか…『私』は…『彼』と『再会』する事が出来ました…そして『その時』…『私』は『私』の『罪深さ』を思い知りました…すっかり…見るも無惨に『変わり果てた』…『彼』の…その『存在』の在りように…」
…『この子達』には…知る権利があり…隠しているのは…『私』の…『罪』…
…そうそれは更なる『罪』…
「…『私』は『罪』を『自身』の『愚かさ』と『浅ましさ』を…思い知らされ…打ちのめされました…」
…『再会』した…『彼』の…『その姿』に…
そして『私』は思い出す…『あの日』の事を…
…『彼』との『再会』と…『彼女』との『出会い』を…
―『ノア』の『望み』―
―21―
…………………………………………………………………………………………………………
『……アルファ…?…アルファなのですか…?…』
震える声で呼んだ…『名前』…
…だけど返ってきた『言葉』は…
「……だ…れ…?…」
虚ろな瞳と空虚な『言葉』…
…そしてその後…『彼』はブツブツと宙空を見つめ…ただ『何か』を呟いていて…
「……あの…『アレン』くん…の…『彼』を知ってる人ですか…?…」
不意に…聞こえた躊躇いと戸惑いの混じった若い…可愛らしい女性の声に振り返れば…其処には長い黒髪の少女が立っていた…
…そしてその『少女』こそ…後に『彼』と愛しあい…『その子』を孕んだ…『彼』の『最愛の女性』だった…
―続く―
―あとがき―
今回は久し振りに冒頭と本文が逆転現象起こしてます。
…そして今回『本文部』から『7000年前』の回想をちょっとだけ…
…これまでは伯爵一人称にするとこれが避けられなくなるので、ずっと極力避けてきたのですが…今回から書くこの回想は元々書くつもりだったので予定通りです。
ちなみにこれまで回想を避けていた理由は、まだ書くわけには行かないネタバレがあったのと…そしてそれ以上に…此処で登場させるわけにはいかないオリキャラが出てきてしまうからです(…存在の言及くらいならもう良いかなと思うので書きますが…)
―それではまたの機会に―RIN―