「……あの…『アレン』くん…の…『彼』を知ってる人ですか…?…」
 背後から不意に聞こえた若い可愛らしい少女の声に『私』は振り返った。
 「……え…?…ア…?アレンくん…?…」
 振り返った『私』を見て『彼女』は困惑も露わに『私』と『アルファ』を交互に見て…
 「……あ…あの…もしかして…彼の…身内の方…ですか…?…もしかして…兄弟…とか…」
 そう躊躇いがちに『私』に問うてきた。

 ―それが『彼』との『再会』であり『彼女』との『出会い』…そして…『幸福』と『悲劇』の『始まり』…


 
―『ノア』の『望み』―
              ―22―
  


 「……エエ…ソウデス…」
 『私』はそう言って頷く。
 目の前の『少女』の使ってる『言葉』から…『少女』が『何時の時代』の『何処の地方』の『言語』を使っているのかを『自身』が持っている『人間の情報(データ)』の内(なか)から『検索(スキャン)』し、そしてその『言葉』で『返答』を返した。…『人間』には『自分達』の『言葉』は『言葉』として『理解』出来ないから…
 …しかし…?…
 「…トコロデ…『アレン』トハ…?…」
 …何故この少女は『アルファ』をそう呼んでいるんでしょう…?…
 そう訝しく思い問うてみる。
 「…あっ…あの…実は…『彼』…凄く…言い難いんですけど…その……」
 『私』の問いに…少女はチラリと『アルファ』を見ると…次いで僅かに俯き…視線を彷徨わせる…
 
 ―…それは…恐らく『どう切り出そうかと』迷っての事だったのでしょう…(『彼女』の『話し』を聞いて『私』は『彼女』の『言動』の『理由』をそう『理解』しました…)

 …僅かに俯き…チラリチラリと視線を彷徨わせ…暫し彼女は沈黙する。

 ―…その『沈黙』が長かったのか短かったのか…もう『私』は憶えていない…

 ―『脳裏』に蘇る…遠い『7000年前』の『記憶』……

 ―思い浮かべて『私』は『子供達』に話す…

 「…その暫しの『沈黙』の果てに…『彼女』は顔を上げそして『彼』の方をもう一度見つめ…ポツリポツリと話してくれました…」
 …『子供達』に『私』は告げなければならない…どんなに辛くても…
 そう思って『私』は意を決し…
 「…そして『彼女』の『話し』から…『私』は『私』の『罪』を『思い知らされた』のです」
 そう告げた。

                                       ―続く―