「…『その時』が来れば…『神(クラウン)』を『慰める為の人間(ノア)』は『必要』なくなる…」
「……それ…どういうこと…?…千年公…」
千年公の『言葉』に僕は目を見開く。
―…『ノア』が『必要』ないって…どういうこと?…
…だって…それじゃあ……
「…『アレン』は…『ノア』は…『神(クラウン)』にとって…」
…『必要』なんじゃなかったの…?…
そう問おうとした僕に千年公は頷き…
「……勿論…『必要』です…けれど…それは……『人間(ノア)』である『私』や『アレン』ではなく『神の道化(クラウン・クラウン)』である『時の道化(クロノ=クラウン)』…『義人』たる…真の『千年伯爵』のみ…」
『…真の…『千年伯爵』…?…』
千年公の言葉に僕らの声が揃う…
「…ええ…我らは『道具』です…『時』が来るまでの…『手並み草』の…ただの『気紛れ』…ただの『思い付き』の『結果』生み出された…『玩具』…『人形』…いまは『神』がこの状態を面白がっている…けれど…いつ厭きるか…厭きたら『終わり』です…『私達』は『NOAH』と言う『記憶ファイル』のみとなりしまわれ、『感情』や『思い出』は『消去』され…そしてまた『別の名』を与えられ『別人』となる…」
…そんな…
千年公の口から語られる…『その真実』はあんまり過ぎて…僕は…『理解』出来なかった…
…否…したくなかった……
「…ですが『私達』にも『心』はある…『感情』も…『望み』も…だから…『私』は『愚かな道化(オーギュスト)』となることを『決意』したのです…『舞台(現在)』を壊す事で『新たな展開』を造り出す。そうすれば…『神』の無聊も慰められるし…何より……」
そこで…急に千年公は黙り込んだ…
…黙り込んだかと思えば…唐突にベッドに上がり『アレン』の『身体』を抱き締めた。
―『ノア』の『望み』―
―27―
「……千年公…?…」
…千年公の表情は俯いていて解らない…けれど…
…なんだか…様子がおかしいような気がして…いつもの千年公と違うような気がして僕は千年公を呼ぶ。
「……もう…『誰』も…裏切らない…裏切られない…もう『誰』も…傷付けない…傷付けられない…もう『誰』も…『誰にも』奪われない…」
低い…それまで聞いたこともない程…低い声音で千年公が呟く…
―ギュッと強く『アレン』を抱き締めて…
「……ワタサナイ…ワタサナイ…ワタサナイ…『ワタシ』ノ『コドモ』…『ワタシ』ノ『ウツワ』…『ワタシ』ノ『シンゾウ』…『ワタシ』ノ『タマシイ』…ケッシテ…ワタサナイ…『偽神(ヤツ)』ニドクサレタ…『ニンゲンドモ』ト…ソシテナニヨリ『偽神(ヤツ)』ニハッ!!……ワタサナイ…ワタサナイ…ワタサナイ…」
…ブツブツと呟く千年公の様子は…どこか鬼気迫っていて…『普通』じゃなかった…
―続く―