―『オーギュスト・ノア』…
 その『名前』にフッと『意識』が惹かれた。

 ―そして声のした方を見てみると…其処には今にも泣きそうな少女の顔…

 ……あっ…ロ…オド…?…
 …何故…そんな…そう思いかけて…直後…『自身の身に起こっていた事』に気が付き理解した。


 
―『ノア』の『望み』―
              ―30―
  


 「…大丈夫…ですよ…ロード…心配掛けましたね…」 
 そう言って我輩はにっこりと微笑い掛ける。
 「……ホ…ホン…ト…?…」
 今にも泣き出しそうな表情でロードが我輩を…我輩と『アレン』をジッと見つめ微かな声でそう呟く。
 「…はい…ホントですよ…」
 不安気な彼女に我輩は頷いて穏やかな微笑を浮かべてそう言うと、抱き締めていた『アレン』をゆっくりとベッドへと横たえ、そして我輩はベッドの端に座り直す。
 「こちらにおいで…ロード…」
 ベッドの端…『アレン』の脇に腰掛け直して、そして我輩はロードへと両の腕を広げてそう呼び掛けた。
 「…せっ…」
 そして呼ぶなり…
 ロードはボロボロと涙を溢れさせ…
 「…千年公ぉ〜!!」
 そう泣きながら我輩の胸に飛び込んで来て…
 「…恐かった!恐かったんだから〜!」
 そう言って我輩の胸をドンと叩き…
 「…バカバカバカ〜!」
 我輩の胸にしがみついてそう大泣きした。

                                       ―続く―