眠る『アレン』を背後に、その『アレン』とそっくり同じ顔の『千年公』が両腕を広げにっこりと微笑んで僕を呼んだ。
―『いつも通りの優しい微笑み』…『僕の知ってる千年公』…
…その笑顔に安心して…安心したら…込み上げてきた…必死で堪えていたモノが…
…だから堪らなくなって…千年公に飛び付いて…その胸にしがみついて大泣きした。
―『ノア』の『望み』―
―31―
「…ぐすっ…ひっく…うっ……」
泣いて泣いて…思いっ切り泣いた…『千年公』の胸の中で…
「…ホラ…ロード…そろそろ泣きやんで下さい…あなたが泣いていたら『アレン』が心配しますよ…」
千年公はそう言って僕の頭を優しく撫でる。
そしてその『言葉』に顔を上げると…
「…我輩は…我輩達はもう大丈夫ですから…」
そうにっこりと微笑って言うともう一度僕の頭を撫でて…
「…先程の事はですね…皆さん…あれは…我輩が…我輩の『闇』と『神』の『闇』が『同調』して…それで…『神』の『闇(病み)』に引きずられ…その為に我輩がもうちょっとで…『オーギュスト・ノア』に染まりきってしまうところだったのです…」
そして皆を見渡して千年公はそう説明する。
『…オーギュスト…ノア…?…』
『…『神』の…『闇』…?…』
皆が口々に疑問を口にする。
―そんなみんなに千年公は頷いて…
「…我輩達は…『オメガ』と『アルファ』この二つの『呼び名』を持っています。ですが…実は他にも我輩達だけの『呼び名』があるのです」
そして『アレン』を見遣りソッと手を伸ばしその髪に触れてそう言う。
「……じゃあ…まさかそれが…?…」
上擦ったティッキーの声…
その声に千年公は頷き…
「……ええ…『オーギュスト』と『クラウン』…我輩達の『立場』と『役割』を表す…『名前』です…」
そう言った。
―続く―