「……ええ…『オーギュスト』と『クラウン』…我輩達の『立場』と『役割』を表す…『名前』です…」 
 我輩は頷くと、『子供達』を見渡し、そして重々しく告げた。


 
―『ノア』の『望み』―
              ―32―
 


 「…我輩が『オーギュスト』となることを『決意』した。その事については既に話しましたね」
 皆に視線を巡らせそう言った我輩に、『子供達』が皆一様に真剣な表情(かお)をし、コクリと頷く。
 「…そして『クラウン・ノア』その名については『ノアの王子』の『名』として、もうずっと以前に話していましたね…」
 頷いた『子供達』に、我輩は先程出した『クラウン』の『名』についても告げ…そんな我輩の『言葉』に『子供達』が再び頷く。
 その『子供達』の様子を見渡して…そして我輩は『アレン』に視線を戻し…
 「…ですが…」
 そう言い置いて…そして『アレン』の頬を撫で…
 「…もう皆さん解ると思うのですが『ノアの王子』と言うのは『この子』の『本当の正体』を隠した上で『この子』を捜し出し保護する為に考えた『偽りの正体』です」
  
 …『この子』を守る為とは言え…『子供達』にさえ幾つもの『嘘』を重ねてきました…

 「我輩と『ロード』と『ワイズリー』の三人で約百年前に考えた『名前』で…元々そんな『存在』はいません」

 …そう…知っていたのは我輩と『ロード』と『ワイズリー』のみ…
 …だから『イノセンス』が目覚め始めた事に…『約束の時』が訪れようとしていることに気付いて…三人で考えた…

 「『アレン』が…『クラウン・ノア』が『ハート』であり同時に我輩の『命』の『半分』であると言うことを隠し通すため…今日まであなた達にさえも『嘘』を吐いてきました」

 …7千年前の…『繰り返し』を避ける為に…

 「…悪いとは思いました…ですがそれ以上に『アレン』の『安全』には代えられなかったのです…」
 そう告げると我輩は顔を上げ『子供達』を再び見渡し…
 「…済みませんでした」
 そう深く頭を下げた。

                                       ―続く―