―口々に『子供達』が『気にしていない』と言った。

 …嗚呼…みんないい子に育ってくれて…!…
 そう思うと目頭が熱くなってきて、瞳が潤む。

 …嗚呼…あなたにも見せてあげたいです…『アレン』…
 そう思って…チラリと『アレン』を見遣り…

 ―そして…

 「…有り難うございます…みんないい子に育ってくれて我輩は嬉しいです」
 そう言ってにっこり微笑った我輩の頬を一筋の滴が伝って落ちた。
 

 
―『ノア』の『望み』―
              ―34―
 


 ―我輩が謝って…そして泣いて…『子供達』に慰められて泣きやんで…それから…落ち着いて再び話しを再開するのに…それでも暫しの時間を要した…

 …それ程長い時間ではなかったけれど…それでもやはり僅かながらその『時間』を必要とした。

 「……さて…それでは先程の話しの続きを…」
 そして暫しの沈黙の後に…我輩はそう口を開く…

 ―『オーギュスト』と『クラウン』について話す…その為に…

 「…『クラウン』については…先程も話しました通り…あなた達も『ノアの王子』の『名』として知っていたでしょう」
 そう言って再び『子供達』を見渡す。
 「…けれどそれは先程も話しましたが『偽り』です。『クラウン・ノア』とは『本来的』には『ノア』の『理性』であり、その『使命』を『正しい形で全うする存在(もの)』…もっとはっきり言うと…『クロノ=クラウン』を『覚醒』させ『顕現』させそして『世界』の『正しい終焉(終わり)』を『演出』する『存在(もの)』のことです」
 …そうそれが『クラウン・ノア』の『使命』…
 「…そして『オーギュスト』についても先程我輩は少し話しましたね。『舞台』を壊して『新たな展開』を造り『神』の『無聊を慰める』と…」
 そう告げた我輩に『子供達』がそれぞれ頷く。
 そしてそれを見て我輩は再び口を開く…
 「…『オーギュスト・ノア』は…つまり我輩は『ノア』の『感情』を象徴する『存在』です。『ノア』がその『感情』故に深く傷つき過ぎないようにするのが『目的』であり、『人間』を愛する『ノア』が『使命』を全うするのを望まぬのであれば『全て』を覆すのが『愚かな道化(オーギュスト)』たる我輩の『使命』…そしてその為に…我輩は『人間の世界(現在)』を『終焉(終わり)』に導く事を『決意』したのです」

 …そう…『NOAH』が『覚醒』て…『全ての終焉(ALL END)』を起こさせないようにする為に…

 「…『真実』の…『この世界』の『終焉(終わり)』を…先延ばしにする為に…」
 そう言って『アレン』を見つめ…
 「…そして『アレン』を守る為…我輩は…『人間の世界(現在)』に『終焉(終わり)』をもたらす事に決めたのです…」
 その髪を梳き…
 「…そう…『クラウン・ノア』が『ノア』の『使命』の『遂行者』なら『オーギュスト・ノア』は『ノア』を守る『守護者』なのです」
 或いは頬を撫でながら我輩は告げた。 

                                       ―続く―