『………………』

 …『空気』が重い…

 …みんな…びっくりしてる…
 …当然だよね…『アレン』のコト…『千年公』のコト…みんな全然知らなかった…

 …僕でさえ…知らない『事実(コト)』があった…

 …だから…みんなが黙り込んじゃうの…無理ないって解る…

 ―『千年公』の『話し』が一通り終わり…そしてその場を沈黙が支配する中…ロードは『伯爵』同様ソッと『アレン』に寄り添いながらチラリと『兄弟』に視線を向けて、そう思った…
 

 
―『ノア』の『望み』―
              ―35―
  


 『話し』が終わると『伯爵』は…また普段の『千年伯爵』の『姿』に『戻って』いた。

 …重い沈黙が落ちる中…伯爵はただ俯き…ジッと『アレン』を見つめながら…ずっと『彼』の頬や頭を撫でていた。

 …しかし不意に『その手』がピタリと停まる。

 「?どうしたのぉ?千年公ぉ?」
 唐突に停まった伯爵の『その手』の動きを怪訝に思ったロードが顔を上げて問い掛ける。

 「…クロスッ…」
 ロードが顔を上げ伯爵を見てみると、彼は険しい表情(かお)でそう呟き…
 「『アレン』ッ!『アレン』ッ!すぐに起きて下さイv!すぐニッ…!v…」
 焦りを含んだ声でベッドで『眠り』に着いている『アレン』に呼び掛ける。

 …しかし『アレン』は起きない。
 …けれど『それ』は当然なのだ。この程度で起きるわけがないと…『それ』は伯爵もロードも知っている。

 ―何故なら…『アレン』のいまの『眠り』は通常の『眠り』ではなく、『夢』の『能力』を使っているがゆえの『副作用』の様な『モノ』なのだから…

 「一体どうしたのぉ?千年公ぉ?『夢』の『能力(ちから)』を使ってる『時』の『アレン』は簡単には起きないって知ってるでしょぉ?」

 …だからロードは問う。
 知ってる筈でしょうと…

 「…そっ…それはそうですガッ…このままでは大変なのでス…アレンの心がかなり揺れてるみたいですシ…しかも寄りにも寄ってそんな時に『あの男』がっ…クロスがアレンの前に現れてしまったのでス!v」

 そんなロードの『言葉』に伯爵も『解っている』と頷いて…それでも動揺も露わに捲し立てる。
 その伯爵の様子は尋常ではなく…そんな彼の態度からロードは『クロス・マリアン』と言う『存在』が『アレン』にとって『どういう存在』なのか悟る。
 「…クロスって…そんなに『アレン』に『親い』の?」
 そして『理解』するとロードは不機嫌に表情を歪めて、伯爵に『それ』を確認すべく問い掛ける。
 「…ええ…まあ…我輩達ほどではありませんがネ…」
 そのロードの問いに、伯爵もまた不満げに表情(かお)を歪め…
 「…けれど『あの男』は紛れもなく『アレン』の『特別』なのでス…」
 …けれど頷いて忌々しげに呟くと…
 「………………」
 暫しの沈黙の後に…
 「…ロード…アレンを起こして来て下さイv」
 伯爵は常よりも僅かに低い声で、ロードにそう告げた… 

 …告げて…ロードは『アレン』を起こしに行った。

 …けれど…

 …結局…全て手遅れだった。


                                       ―続く―

 ―あとがき―
 皆様どうもRINです。『ノア』の『望み』も後もう少しです。
 …所でこの第35話の内容…なんかどこかで読んだような?と皆様お思いかと思います。そうです、実は今回の本文部は『11年前の奇怪』の第10話目とリンクしております。
 そして多分予定通りに行けば…次回は最終話となると思います。

 ※次回で予告編チックだった『運命の分岐(わかれみち)』終章に書いた『内容』は全て書き終わると思います。

                                  ―それではまたの機会に―RIN―