「…我輩達は『ノア』であって『ノア』でない…そして『同じ存在(もの)』であって『異なる存在(もの)』…永く『別個』に『存在』した『我々』は…互いのことを『兄弟』の様に想いあってきましタ…v…」
 涙を流し千年公は語り続ける…
 「…だから…7000年前…『アレン』が『人間』に『裏切られ』…その『最愛の女性』を…その胎の子供ごと失ってしまった時…我輩は決めたのでス…v…こんな『世界』は滅ぼそうト…v…『世界』をまだ救えると…まだやり直せると…そう言って必死で己の身を削り戦っていた『アレン』を裏切ったこんな『世界』滅ぼしてやるト…v…」
 抑え切れぬ『怒り』と『哀しみ』と『憎しみ』を無理矢理に抑えつけて…


 
―『ノア』の『望み』―
              ―9―
  


 「…ちょっ…まっ…こど…も…って…」
 ティッキーが困惑も露わにそう問い…アレンと千年公を交互に何度も見る…
 ジャスデビもスキンも…唖然としてる…
 …当然だよね…みんなは知らなかった…
 …『アレン』のこと…『千年公』のこと…
 …そして…
 「…そうだよ…『アレン』には『子供』がいたの…そしてその生まれてくることの出来なかったその『子供』こそ…『僕ら』の『本当のオリジナル』…」
 ポツリポツリと僕は言う…
 「…だから『アレン』は…『僕らのお父さん』なの…でも『アレン』は…7000年前…その『魂(こころ)』と『器(からだ)』に負った『傷』が深すぎて…深い深い眠りについた…その『深い眠り』が…『アレン』の『記憶』を押し流し…『再生』する為に要した膨大なエネルギーの為に…目覚めた時の『アレン』はなんにも覚えて無くて…身体も『赤ん坊』になっちゃってたって…だから…僕と最初に会った時…『アレン』はなんにも知らない『子供』と一緒で…なんとなく…『僕ら』が『家族』だって言うのが解るぐらいで…だから僕は…『お父さんだけどお父さんじゃない』アレンのことを『お兄ちゃん』って呼んでいたの…千年公もマナが裏切ってるかも知れないから…アレンが『お父さん』だって言っちゃ駄目だって言ってたから…」
 …だからこのことはずっと『秘密』だったと…そうポツリと付け足す…
 「…そう…そして『あなた達』の『誕生』の為に…使われたのは…紛れもなく『アレン』が司る『始まり』の…『再生』の『力』…いまでも『あなた達』の『命』を支え…アクマを生みだしているのもこの『力』でス…v…」
 僕に続いて今度は千年公が言う…
 いまはもう涙は止まってるけど…哀しそうなのは変わらない…
 「…尤も…アクマの方は我輩が勝手にやったのですがネ…v…『アレン』…いえ『ノア』が…『あなた達』を生み出す為に使った『力』とその『システム』を使っテ…v…」
 そう言って千年公はアレンをジッと見つめていたその顔を上げ…
 「…だから『この子』は我輩の『片割れ』であり『兄弟』であると同時に、『あなた達』の『命の中心』…その『源』でもあるのでス…v…」
 僕らを…と言うかティッキーとジャスデビとスキンの三人に向き直りそう言った…

                                       ―続く―