「…『ノアの王子』は…『彼等』の『神』と密接な関わりを持ち…そしてイノセンスのハートを無に帰す存在…そう言われておるそうです…」
 …その言葉に…フロワ・ティエドールは『あの時』のあの勝ち誇った『あの笑い声』を思い出し…
 …その『事実』が指し示す『意味』に愕然とした…


 
―ノアの王子―
       ―10―
 


 「なっ!そんなっ!!」
 ブックマンの言葉にフロワは愕然とした…

 …もし…その言葉が本当ならば…確かに…ブックマンの…
 …「…この戦争の勝敗を分かつ存在とも言える…」…
 …と言ったあの言葉にも頷ける…
 …そして…伯爵が勝ち誇るのも…
 …しかし気になるのは…
 「…アレン・ウォーカーとは一体…」
 …『何者』なのか?…
 …伯爵は一体何故?
 …やはり方舟で起こったことを正確に知る必要があるな…
 …そう考えて…ブックマンに問い掛けようとした時…
 「…ブックマ…」
 「ジジイーッ!大変さー!!」
 …ラビのブックマンを呼ぶ叫びが聞こえた…
 
                                            ―続く―