「…アレン(あいつ)のイノセンスは…『ハート』を見付けだし、覚醒させる『鍵』だ」
―!!
「なっ!」
…『鍵』?『ハート』の?…
「…そんなっ…」
…そんなイノセンスがあるなんて初めて聞いた…
「…アレンくんの…」
「…アレンのイノセンスが…」
リナリーとクロちゃんが動揺も露わに口々に呟いた…
―ノアの王子―
―15―
「…だから伯爵はアレン(あいつ)を自分の手元に置いておこうとして、適当な口実であいつらを江戸に呼び、そしてマナを殺し…なにくわぬ顔であいつに近付いた…」
…そして…アレンはマナをアクマにした…
「…まあ…マナから連絡を受けていた俺がすぐにアレンの所に行ったから…伯爵はその場は退いたがな…」
…解らないのは…何故…アレンを使ってマナをアクマにしたのか…
…伯爵にしてみてもアレンを殺してしまうわけにはいかなかった筈だ…
…なのに…
「…じゃあ…元帥とアレンが会ったのはやっぱり偶然じゃなかったのか…」
そうジュニアが納得したように言う…
「!ラビ…知ってたの?」
そしてジュニアの言葉にリナリーが目を瞠り…
「…ああ…ほら…アレンが悪夢に魘されたことがあっただろう?…あん時にジジイがコムイから聞いていたんさ…そんでアレンの『過去』になんかあるのかも知れないって話になって…元帥がなんか知ってるかも知れないって…」
そう言ってジュニアが、俺を見据える。
…だが…気になるのは…
「…悪夢だと?…」
…それも…アレンの『過去』に『何かがある』なんて話になるような?…
「…おいっ!それはどんな内容だっ!」
…アレン(あいつ)の『過去』に関係するような『夢』をアレン(あいつ)が見ていた…だと?…
「…内容は解らないんです…アレンくん朝起きたら…忘れてしまっていて…」
「…それも…一度はリナリーが起こそうとしたら…アレンのイノセンスが発動して…そのことを知ってアレンは随分ショックを受けていたのに…朝になったら全部忘れていたとラビが言っていたである」
―!
…なっん…だと…
リナリーとアレイスターの孫のその言葉に俺は瞠目し…
「おいっ!ジュニア!それは本当かっ!」
ジュニアに問い質す。
…あいつのイノセンスが勝手に発動するような内容だと!?…
「…ああ…内容も一度だけ魘されてたのを聞いてちょっとだけなら解るさ…」
「ラビッ!私そんなの聞いてないわよっ!」
「どう言うことであるか!?ラビッ!?」
ジュニアの言葉にリナリーとアレイスターの孫が口々に問い質す。
「…ああ…悪かったさ…リナリー…クロちゃん…でもジジイが2人に心配掛けない方が良いって…」
…心配か…
…と言うことは…やっぱり…『11年前』のことか…
「…っだからってっ!」
そう更にリナリーがラビに詰め寄る。
「…大方あいつが殺されるとかなんとか叫んだんだろう…」
―!!
俺の言葉に全員の視線が一斉に俺に集まる。
「…元帥…やっぱり…知って…」
ジュニアが目を見開き呟く。
「…ああ…この件については『教団』にも記録が残ってる筈だぜ」
…『11年前』とは言え…あんなケースは例がないからな…
「…教…団に…ですか?…」
リナリーが「そんな」と微かに漏らす…
「…ああ…これ以上を話すんならティエドール達も呼んでこい」
…面倒は一度でたくさんだ…と言っても…『教団』に戻れば結局は『奴ら』に質問責めにされるんだろうが…
「近くにいるんだろ」
そう言ってジュニアに呼びに行かせた。
―続く―