「…見間違いかな…『彼』に…ペンタクルがあったの…」
 戸惑いがちの混じったロードのその言葉に…我輩は驚き…
 「…それは本当ですか?ロード」
 そう問いながら辺りに視線を巡らせる…

 ―『退魔ノ剣』…
 その『イノセンス』が『其処』に『在る』以上当然『この場』にいる筈の『その人物』の『姿』を捜して…
 

 
―もしもあの時…(ケース1)
    『千年伯爵とロードがいたら?』
                 ―4―
  


 …そう…何かが『奇妙しい』とは思っていたのだ…
 ブローカーからの『報告』ではエクソシストは三人…

 ―『白髪と長い黒髪の少年と大柄の男』―
 
 …けれど…『この場』にいるのは二人…当の『アレン・ウォーカー』がいない…

 『あの剣』が『この場』にある以上いない訳がないのに…

 ―ましてここは『結界の内(なか)』…
 『奏者の能力』も封じている以上、どこにも『逃げ場』などあるわけがない。

 …だとしたら…
 そう思ってアクマ(レベル4)の向こう側にいるであろう『人物』に視線を向ける…

 …新たな『家族』の『覚醒』…その喜びにあまり意識はしてはいませんでしたが…

 「…遠目だからよく解らないけど…けど…」
 そう言い置いてロードが続けて言った言葉は…
 「…けど…千年公…よく見て…『彼』の髪…ここからじゃ遠いしアクマが邪魔でよく見えないけれど…真っ白だよ…」

 …我輩が気が付いた『ソレ』と同じモノ…

 …しかしあそこにいるのが『アレン・ウォーカー』だとしたら…

 …『ノア』だと思ったのは少々早計だったかも知れませんねェ…

 『アレン・ウォーカー』は『アクマの呪い』とそして『14番目が残した奏者の資格』がある…

 …この二つの内のどちらか…(或いは両方に…)…あのイノセンスが反応した可能性もありますからねェ…

 …もう少し…様子を見るべきでしょう…
 そんなフウに考えていたその時…

 ―《オ》《ハ》《ヨウ》―

 不意に聴こえた『その声』…『ソレ』は紛れもなく『ノア』の『声』…

 …ならばもう間違いない…

 そう考えて口の方端を上げ我輩は笑った。

                                  ―続く―