薬草を籠からこぼさない様にと気にしながら一生懸命に籠を抱え、とてとてと駆けてくるまだ稚い弟子のその様子に師は微笑まし気に微かに笑みを浮かべた。
幼き迷い子 ―4―
「師匠〜薬草はこれでいいですか?」
玉鼎のもとへと着くと、楊ゼンは僅かにつま先立ちをし籠を差し出した。
楊ゼンは籠を渡すと、籠の薬草をあらためる師の様子をジッと見、そしてその言葉を待った。
「薬草はきちんと集められていたよ、ご苦労様、頑張ったな、有り難う楊ゼン、疲れただろう、少し休んでいなさい」
穏やかな優しい笑みを浮かべ、玉鼎は楊ゼンの頭や顔を優しく撫でながらそう言った。
「いえ!僕は全然平気です!まだ何か出来る事はありませんか!」
楊ゼンは頬を上気させ、師を真っ直ぐに見てそう言った。
その様子は、玉鼎の役に立ちたいと言う思いと、まだ自分にはもっと出来ると言う思い、そしてもっと色々な事を体験したい、そこから様々な事を学び取りたいと言う、無自覚の向上心の僅かな表れだった。
「…そうか…だが楊ゼン…お前は自分の与えられた役割を十分に果たした、私はまだする事があるから、その間まだお前を待たせる事になる、だから休んでいるのが嫌なら、折角だからこの草原で遊んでおいで、こんな夜中だから誰もいないし、私も遊んではやれないからつまらないかも知れないけれど…」
楊ゼンは師のその言葉に、師がこの為に此処に来たのだと言う事をハッキリと悟り、元気よく返事をし会釈して、そして駆けて行った。
―続く―
―あとがき―
お久し振りです道行マリル様、なんとか11月中に間に合わせる事が出来ました…
遅くなりましたが『幼き迷い子』第4話をここにお届け致したく思います<(_ _)>
え〜ようやく玉鼎の回想が終わりました…
次回はようやく楊ゼンに起こった異変が明らかになると思います…(お待たせ致しました…)
今回も短いです…済みません…(前回よりは…マダ…マシですが…汗…ウゥー…)
―それではまた―RIN―