医者を見送って私は少年のいる部屋へと向かった…
 少年の服に付いていたボタンを見る…
 刻まれているその名前は…

 『アレン・ウォーカー』

 …それが…少年の名前だった… 


 
ラーズグリーズの出会い
              ―4―
 


 少年のいる部屋の扉のノブに手を掛け様として、僅かに躊躇う…
 『この扉』の向こう側にいるのは…記憶を失っているとはいえ…エクソシストなのだ…

 …ここに連れてきたのは自分…でも…
 …最初は少し話をしたら…隙を見て殺すつもりだったのに…
 …なのに…
 …何故私は…記憶を失っていて、話なんて聞き出せそうに無いエクソシストの為に医者を呼んだりしたのだろうか…?…
 …話が聞けないのなら…殺す…それがアクマとしての当然の行動の筈なのに…
 …なのに…それどころか私は医者まで呼んで…

 「…どうして…あんなことしたんだろう…」
 ポツリと呟いた…

                                            ―続く―