「…どうして…あんなことしたんだろう…」
扉の前に立ち尽くしポツリと呟き…
私は…手に持ったコートと…そしてボタンに視線を落とし…
―ハア…
…と溜め息を零し…そして意を決し…扉を開けた…
ラーズグリーズの出会い
―5―
「なっ!なにやってるのっ!?あなたっ!?」
扉を開けると少年はそこに立ち、瞳に巻かれた包帯に手を触れようとしていた。
「なにやってるのっ!いまお医者様が薬を付けて下さったばかりなのにっ…!…」
それを見付けて、私は慌てて駆け寄り止めさせる。
「…………あなたは…その声は…さっきの…?…」
包帯を解こうとしていた彼の手を押さえそう言った私に少年はどこか不思議そうな感じでそう言う…
…こちらを見て。
―ト…ク…ン…
包帯越しに…けれど確かに感じたその視線…その眼差し…
―瞬間…思いだした…あの『銀灰』の光…
―ト…ク…ン…
聴こえる『何か』の音…
…やだ…私…変…
そう思いつつも…何がどう変なのかも解らない…
…解らないながらも…なんとなく…バツが悪くて…押さえていた少年の腕を放し…
「…そうよっ…それより包帯を取っちゃダメっ!治るものも治らなくなるわっ…!…」
そう言うなり…少年から少し離れようとした私の腕を…まるで見えているかのように的確に追いすがって来た彼の腕が…その手が掴み…
…そうして私は…彼に強く抱き締められていた。
―続く―