「あの…神田?僕に話って何ですか…?」
案の定、モヤシはビクビクしているようだった。ムードもへったくれもあったもんじゃねぇ。
……が、今日を逃すと次はいつチャンスがあるか分からない。良いムードじゃなかろうと、俺は今日絶対モヤシに自分の気持ちを伝えてみせる…!!
人気の無い場所までモヤシを連れていくと、まず周りにあの馬鹿兎が居ないか確認した。あいつはヘラヘラしてるくせに勘だけは妙に鋭く、俺がモヤシと接触するのを全力で阻もうとするのだ。(それは俺も同じだが)
俺は周りに誰も居ないことを確認すると、モヤシの方へ向き直る。
「……お前にずっと言いたかったことがある」
「…は、はぁ……」
モヤシはきょとんとして首を傾げた。……やめてくれ。ここにきてそんな誘っているような仕草は。(←勝手な思い込み)
俺は深呼吸を一つして、口を開いた。
「じ、実は………ずっと前からお前のことがす、す、す………」
何つっかえてるんだよ、俺は……!!一気に言っちまえ!!
自分を叱咤激励しながら、もう一度大きく息を吸い込んだ時だった。その不吉な声が聞こえてきたのは。
「アッレ〜〜ン♪」
「わぁっ////」
………一体何処から湧いて出やがった?
「ら、ラビ!!いつも言ってるでしょ!?いきなり抱き付くのは止めて下さいって////」
「え〜?アレンが可愛すぎるからいけないんさぁ〜」
油断した…!!こいつが神出鬼没だということを忘れていた。さすがはブックマンの後継者だぜ…!!(←関係無い)
「で、ユウと何してたんさ?俺も混ぜてほしいさ〜」
うわっ、ムカつく、その顔!絶対、全部分かってんだろ、てめぇ!!くそっ、モヤシが居なければこんな奴六幻で斬り刻んでやるのに……!!
「何か僕に話があるらしくて………っ!ちょっ、何処触ってるんですかっ!///」
って、モヤシもそこで赤くなってんじゃねぇよ!!変態兎が喜ぶだけじゃねぇか!!
段々と腹が立ってきた。ラビだけじゃなく、モヤシにも。
「それで神田!僕に話って何ですか?」
ラビを引き離そうとしながら、モヤシはそう聞いてきた。勿論、その時にはもう言う気が削がれていたことは言うまでもない。
「す……………好き嫌いばかりしてねぇでもっと野菜も食べやがれ!!!!だからてめぇはいつまで経ってもそんななよなよしたモヤシみたいな身体なんだよ、この馬鹿モヤシがーーーーー!!!!」
………ああ、俺は何でこうも素直じゃねぇんだ…。これじゃあ、ますますモヤシの俺に対する印象が悪くなるだけじゃねぇか…!!
モヤシの唖然とした視線を背中に感じながら、俺はそう後悔した。
が、例え今日失敗しても俺は諦めねぇ。特にあの馬鹿兎には絶対負けねぇ!!
「か、神田は一体何が言いたかったんでしょう…?というか、好き嫌いが激しいのは神田の方なんじゃ……?」
「まぁまぁ、ユウはきっと虫の居所が悪かったんさ〜。(抜け駆けは無しだぜ、ユウ〜)」
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