「……これ…ハ…v…」
 …方舟を『奴ら』に奪われたことに気付き怒りに震えていた時だった…その『気配』に気付いたのは…
 「…この…『気配』ハ!?v」
 …懐かしイv…
 久し振りに感じたその『気配』に思わず怒りも忘れ、顔が綻ぶ…
 「?主人(あるじ)?」
 「…伯爵たま?」
 そのことに…ルル・ベルとレロが不思議そうな表情(かお)をするが、いまはそれどころではない…
 「…ルル・ベルv我輩は少し出掛けてきますのでその間にお仕事を頼みまスv手段は任せますから『教団』まで行って奪われた『卵』を取り戻して来て下さイv」
 「…解りました…ですが主人(あるじ)『奏者の資格』は…『方舟』は…宜しいのですか?」
 …ルル・ベルに『卵』を取り戻すように指示を出すと…ルル・ベルは頷きつつもそう問う…
 「…『奏者の資格』はクロスが持ってるのでしょうからネv…奪うのも殺すのも無理でしょうから別にいいでスv…それよりクロスに殺された守化縷の補充をしたいのでそちらの方をお願いしまスv」
 …クロスが『方舟の呪い』を知っていた以上…『奏者』はまず間違いなくクロスでしょウv…
 …大体他に『14番』の関係者はあの場には……いえ…まさか…考えすぎでしょウv…『あの子供』は『何も』知らないんですかラv…
 …アアv…でもそれよリv…何故『アレン・ウォーカー』が『我輩の剣』を持っていたのカ?v…むしろ気になるのはこちらですネv…
 
 …マアvとにかくいまは『彼女達』を迎えに行く方が先決でスv…
 …これまで『気配』が無かったことも気になりますガv…それよりもっと気になるのは感じる『気配』が『彼女』のモノだけだということでスv…
 …まあそれモv…二人に会えば解ることでしょうガv…

 …そう思い…『彼女』を迎えに行って…振り向いた『彼女』の顔を見て、我輩は目を疑っタv…


 
―聖母の目覚め―
        ―3―
  


 「……どっ…どうしたの…?…ノア…?…」
 …不安そうな…『彼女』の声…
 …そうダv…この声…どこかで聞き覚えがあると思ったラv…
 …『他人』のそら似?…イイエvそんな筈がなイv…
 「…エム…ザラ…ですよネ…?v…」
 …デモv…信じ難イv…
 「…そうよ!なにを言ってっ!」
 …『彼女』が少し呆れ気味に…少し怒ったように言う…
 …デモv我輩からしてみたラv『彼女』のその『顔』は驚き以外の何者でもなかっタv…  
 …何故なラv…その『彼女』の顔を我輩は知っていたかラv…正確にはとてもよく似た顔ヲv…
 …別に『彼女』と同じ顔を持つ『人物』の存在はおかしくはなイv…
 …だガv…
 …ここにいるのが『彼女』であることに間違いがない以上v…もう一人は当然v…
 …『最愛の妻』とよく似た顔を持ちうる『人物』v…
 「…エムザラv…『彼』は何処ですカ!?v『あなた』のいいえ『我輩達』の『兄』はっ!?v」
 …それはこの世でただ一人v…『彼女』の兄であリv我輩の親友でもあっタv…我輩が兄と慕った優しい従兄弟v…
 「……お兄様…うっ!…ノアッ!あなたっ!お兄様がいないのっ!お兄様がっ!」
 我輩の言葉に凄まじい勢いで泣き出してしまった『彼女』を抱き締めながら…我輩は考える…
 …『偽りの神』に執着された挙げ句殺された…『彼』v…
 …まさカv…そんなことガv…
 …そう思いつつも…『偽りの神』の執着を思うと『もしかしたら』とも思う…

                                       ―続く―