…それに…

 …今日はあたし…ゼロスに構ってる暇なんかハッキリ言って全然無いし…

 …って…あれ?…よく考えたら…

 …ゼロス…あんた…可哀相に…

 …まっ!…こんな時に此処に来たあんたが悪いんだし…

 …何の用だか、知らないけれど…

 …まっ!これも運命だと諦めなさいな…ゼロス… 


 
至宝―1―


 「…待っていたの…」

 「…待っていた…ですか?」
 …誰をとは聞かない…人気の無いこんな森の中で…まして相手(リナ)は自分の来訪を悟っていたのだ…
 …ならば…それを敢えて問うのは無粋と言うものだろう…

 …彼女は待っていてくれたのだ…自分を…

 …自分を待っていてくれた…と言う事が…
 …自分の為に此処まで来てくれた…と言う事の様に思えて…
 …喩え僅かでも…自分が彼女を独占する事が…
 …現在(いま)この時間だけは彼女を独り占めする事を許された様な気がして…
 …それが何故か嬉しく思う…

 …喩えそれが彼女にとって…大した事で無くても…

 …実際特別な意味など無い事も分かっていても…

 …それでも…

 …何故か不思議と嬉しかった…

 …彼女の次の言葉を聞くまでは…

 …穏やかな優しい表情(かお)で、瞳は何処か遠くを見つめる様な様子で…
 「…ええ…人を…って言っても人間じゃ無いんだから人って言うのは変だろうけど…まあ…それはともかくね…人を待っていたの…」
 …にこやかに微笑んでそう言った…
 …一瞬見とれる…彼女のそんな表情(かお)はとても珍しくて…

 …だが直ぐに正気に返り不安が過ぎる…

 リナのどこかまわりくどく主語の無いその言葉に…

 …心が僅かに揺らめき…惑う…
 …確信の中に奇妙な不安が混じる…
 
 …遠くを見つめる様なその瞳に…
 …ゼロスは不思議な感覚を覚える…

 …それは…彼女に関わる時…度々覚える不可思議なモノ…
 …多分それは…彼女が…

 そこまで考えた時だった…ゼロスの思考は停止した…

 …彼女の次の言葉によって…

 「…待っていたの…彼女を…」
 優しい微笑みと共に告げられたその一言によって…

                                  ―続く―

 ―あとがき―
 こんにちは!お久し振りでするりさん、RINですm(_ _)m
 リク小説『至宝』第1話書き上がりましたのでお送りしたく思います。

 …しかし…今回も短いです…しかもL様もマダですし…スミマセン…<(_ _)>
 (…L様がコワイです…アウ…)

 ―それではまた次回―RIN― 
 

 
―更新時にミスを発見!微妙に修正を加えました<(_ _)>