「…待っていたの…彼女を…」
 …そうリナは微笑んで云った…


 …ゼロスは一瞬またも複雑な感情に捕らわれ動揺する…その微笑みに…
 しかしすぐに気付く…
 リナの…その見事なまでの微笑みとは裏腹の…
 とても複雑な感情に…
 …嬉しげで楽しげな感情と…
 …僅かな…けれど底知れなく根深い凄まじいまでの…恐怖或いは畏怖心…
 ハッキリ言ってゼロスがリナから感じ取るのは初めての…目前にしてさえ、彼女が発しているとは、信じ難い程強烈な負の感情と…
 そしてそれ以上に信じ難いのは…ゼロス自身に向けられた…
 強い哀れみ…否ある種共感に似た同情の様な感情(モノ)を、彼女(リナ)が自分(ゼロス)に向けていると言うことだった…


 
至宝―2―


 …姿こそなかったが…
 …確かに感じていたから…
 …彼女の気配を…

 …事の成り行きを…彼女がとても楽しそうに見ている事を感じて…
 …姿を現すタイミングを見計らっているのだというのを感じて…

 …だから匂わせた…彼女の存在を…
 すると何故だかゼロスが少し奇妙な反応を見せて…
 (勿論彼女というのが、誰の事なのかという事に気付いたという訳でもなさそうなのに…)
 そんなゼロスの様子に…彼女の何故か凄く楽しそうな気配を感じて…

 …あたしは少しだけゼロスに同情した…

 …理由は…いまの彼女の気配から受ける印象が…
 …なんだか…とても…物騒に楽しそうな…とある人物の雰囲気によく似ていたから…
 …誰とは敢えて言わないけれど…ハハ…ハ…

 …ゼロス…あんたもホント…可哀相ね…ハア…

 …なんで目を付けられたのかは知らないけど…
 …まあ…運が悪かったと諦めてね…
 …きっとその内良い事もあるわよ…

 …たぶん…

                             ―続く―
 
 ―あとがき―
 こんにちは!るりさんお久し振りです、RINですm(_ _)m
 お待たせしてしまい申し訳ありませんでした『至宝』第2話がようやく書き上がりました<(_ _)>
 …色々あって遅くなってしまい…
 しかもその上今回もL様が出てきませんでした、済みません<(_ _)>

 ―それではまた次回―RIN―