―『奇蹟のパテェシィエ』バレヌゥス=ティン…
 世間一般では…バレン=ティンと呼ばれるゼフィーリア出身の聖者の一人…
 その持てる能力は確かなものであったが…ゼフィーリア以外ではあまりその名は知られていない…
 …それは…あまり彼がゼフィーリアから出なかった為と…
 そしてもう一つ…
 彼がゼフィーリアを出る時…その殆どが…『赤の竜神の騎士』の旅の共としてだったからであった…
 …その為彼は…一部の存在からは『赤の竜神の騎士の従者』とも呼ばれる…
  

 
スレイヤーズのドキドキ!バレンタイン!=その1


 「ゼルガディスさん?何か知ってるんですか!?それなら早く教えて下さい!隠してるなんて正義じゃないです!」
 …ふと何かに気が付いた様に、しかし怪訝そうな様子でリナに問い掛けるゼルガディスの言葉にアメリアが身を乗り出す…尤も…まだ混乱しているらしく言動に怪しい部分があるが…(…尤も彼女はこれが素だという説もあるが…)
 「落ち着けアメリア!隠していた訳じゃない…ただ俺もあまり詳しい事は知らなくてな…実際そういうイベントがあるというのも知らなかったんだ…」
 アメリアに詰め寄られ、慌てた様子でそう言って、そしてちらりとリナに視線を向ける…
 「…そうよ…『奇蹟のパテェシィエ』バレンの本名がバレヌゥス=ティン…バレンは愛称だったらしくて、普段一緒にいた当時のスーフィード・ナイトが、よくそう呼んでいたから世間ではそっちの名前の方が知られてるの」
 「うむ、そう言えばスーフィード・ナイトはそのように呼んでおったな…しかしリナという娘よおぬしは何故そこまで知っておるのだ?千年前の事だぞ…」
 リナの言葉にそう言えばといった感じでミルガズィアは頷き、そして問いかける…
 「あーまあ…あたしは職業柄結構伝説とか好きだし…バレヌゥスってあんまりゼフィーリア以外では…降魔戦争の時とかに直接関わり合ったような連中ぐらいにしか知られてないんだけど…あたしはゼフィーリアの出身だし…それに……」
 何かあまり気が進まないというような様子で話していたリナだったが、話しの途中で不意に口ごもる…気のせいか、心なしか、震えているようである…
 「…それに?」
 リナのその様子が気になったのか、ゼルガディスが続きを促す。
 「…それに……郷里の姉ちゃんから叩き込まれて…る…か…ら…ね……」
 凄まじいまでに恐怖しつつリナはそれだけ言うのがやっとだった…
 「……なあ…リナ…お前の姉ちゃんって一体…」
 滅多に見る事のない…しかし姉の事を語る時必ずと言って良い程に見られる恐怖に震えるリナの様子に呆然とした様にガウリイが問い掛ける。
 『ええっ!ガウリイ(さん)(人間の男よ)大丈夫(なのか)(ですか)!?』
 ガウリイが珍しく起きて話しを聞いていた事に対し全員が驚愕の声を上げる!
 「…お前ら…一体俺をどう…いや…いい…」
 ガウリイは疲れた様にそれだけ言う…
 「そう…それじゃあそろそろ説明始めるけど…その前に…ゼルはどこまで知ってるの?イベントに関するだけだったら、世間一般に知られているバレン=ティンに関する話しだけでいいんだけど」
 そう言ってリナはゼルガディスを見て、話しを促す。
 「…ああ…そうだな…お前さんにだけ頼むと話しが長くなりそうだしな…」
 …不意に…初めてあったばかりの頃の事を思い出しゼルガディスはそう言う…
 「余計なお世話よっ!!」
 ゼルガディスの言葉に即座に反応しリナがテーブルを両手で叩き一時立ち上がる…
 「…まあ…さっきも言ったが俺はあまり詳しくないんだ…」
 そう言ってゼルガディスは話し始める…
 …そんなゼルガディスとその話しを聞いている仲間達の様子を見ながら、リナは内心でホッと息を吐く…どうやら上手く話しをそらす事が出来た様だと…

                             ―続く―



 ―あとがき―
 RIN:皆様こんばんは!RINです!
     えーと今回は…ゼルガディスの説明までいきませんでしたね…
     前回予告したのに…ウゥ…
     エーでもその代わりと言うか…
     バレヌゥスに関しては冒頭と、
     リナとミルガズィアさんの会話に少し出てきてますね…
  L様:…ところでRIN?
     あんたホントに何時になったら長編の方の続きを書くの?
 RIN:…L様…アウアウ…ああ!近日中には必ず書きます!
  L様:とっとと書かないと見捨てられても知らないわよ!
 RIN:ウゥー(T_T)
     イヤデスゥー!見捨てないで下さいィー(T_T)
  L様:言える立場じゃないでしょうが!
 RIN:…ウウ…でもこの話も一応関係ありますし…
  L様:それで!だからってこの話で伏線出してもまああたしはいいけど…
     でもあんた!それで連載の方をおろそかにしてどうすんのよ!
 RIN:…ア…アノ?L様?そ…その御手にお持ちの剣は…
     あの…気のせいか見覚えがあるような気がするんですけど…
  L様:うー?最近おしおきも何だかマンネリ化してる様な気がしてね…
     ちょっと螺旋のトコから借りてきたのよv
 RIN:げっ!と言うことは…やっぱり…それは…
     『戦獣神の剣』(ウォー・ソード)…
     エ…L様…あの…それはちょっとシャレにならないんで…あの止めて下さい!
  L様:ダァメv
     ―鞘に収めたままで剣を振りかざすL様…

     ―そしてRINは床に倒れ伏し…
     …それを隠すようにするすると幕が降りてくる…
                             ―幕―