…ヴン!カチャン!…アレンのすぐ脇の…青白く輝く台がそんな音を発てる…それにアレンはヨシと言って…その台に触れると…その台はカチャリと音を発て…スッと上部の四分の一がスライドし蓋を開け、アレンは『そこ』からクロスから受け取ったファイルと、そしてもう一つ別のファイルを取り出した…
旅路の始まり―3―
パラリとファイルを捲り…目を通す…
「………えっと…順番は…」
…そう言って…『優先度』と『効率』から弾き出された『目的地』へ行く『順番』を、印してあるページに目を通す…
「なにしてるの〜♪アレンv」
ドサッ!
…目を通しているアレンに不意に…いや…『研究室』に入って来た事事態にはアレンは気付いていたが…背中にそう言ってロードが抱き付いてきたのだ…
「仕事ですよ、ロード」
振り向きにっこり笑ってロードにそう答える。
「えー!遊ぼうよー!アーレーン!」
そう言いロードはアレンの服を引っ張る。
「どうしたんです?ロード?」
「せっかくアレンと遊ぼうと思って来たのに、アレンと遊べないなんてヤだっ!」
そう言ってロードは膨れる。
…どうやら拗ねてしまったようだ…
…ふう…と僅かに嘆息し…仕方ないですね…と言うと…アレンは…
「…ロード…僕はこれから急ぎの仕事でヨーロッパに行くんですが…仕事の前に食事に行こうと思います、一緒に来ますか?」
「!行くっ!!一緒に行くーv」
わーい!そう言ってロードはアレンに抱き付き…
「僕アレンだーい好きv」
そう言ってアレンの頬に口付ける。
そんなロードにアレンは優しく微笑み…
「僕もですよ」
そう言ってロードの額に口付けを落とし…
「じゃあ食事に行きましょうか?ロードは何が食べたいですか?どこに行きたいですか?」
「僕が決めていいの?」
アレンの言葉に、ロードは…じゃあねー…と嬉しそうに言って…
「…んー…イタリアン!フィレンツェに行って三つ星で…代金はゼンブ千年公にツケちゃおう!v」
…で僕は帰ったらイーッパイ自慢するんだーv『アレンとデートしてきたv』ってv
「オヤ?それは…フフ…なかなかv…でもどうしたんですロード?伯爵にいじわるしたくなるようなことがあったんですか?」
「だーってー!千年公ってば僕が遊んでって言っても遊んでくれずに、どっか行っちゃったんだよー!…だから僕アレンとイーッパイ遊んで自慢しちゃおうって決めてたんだよ…でも…」
…なのに…アレンも仕事なんだよね…相手してくれるけど…おもいっきりは遊べない…
ロードの少し不満そうなその言葉に、アレンはなるほどと頷き…
「そうですか、じゃあ今日は食事だけですが、今度時間が空いたら思いっきり一緒に遊びましょう、それで許して下さい、僕の姫君v」
そう言ってアレンは微笑みロードの右手の甲にキスをした…
「…しょうがないなーv今回はアレンは許したげるーv『特別』だよーv」
…でも絶対!絶対!約束だよーvそう言ってロードは笑う。
「はい!絶対ですよv『指切り』しますか?」
「うん!」
そう言って『小指』を絡める…
…『日本』という東の国の古来からの約束に関する『風習』…ノアは日本とは縁が深い…その為…こう言った事も自然詳しく…伯爵なども普段から『日本』の『ことわざ』をよく使っているのだ…
…そして二人楽しく唄う…『指切りげんまん…』と…
…そうしてアレンは普段着から、黒のタキシードへと服装を変え…
「お手をどうぞ姫君」
そう言って右手を出し…ロードをエスコートした…
―続く―