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 「…まあ…尤も…そこまで深い考えなんか無くて…クロスのことだからあの自信過剰といい加減でめんどくさがりやな不精者な性格が原因で単にうっかり言い忘れてただけって事もあるんだけどね…」
 戯けた感じでそう言うとアレンくんが唖然とした様子で目を丸くして僕を見る。
 「ね?アレンくん?キミはどっちだと思う?僕と賭けしよっか?」
 そして茶目っ気たっぷりにウインクしてそう言った。


 
―『種』と『ノア』―
              ―14―
  


 「…プッ…」
 「ぷ…?…」
 僕の口から零れ出たその『音』に、コムイさんが首を傾げる。
 「…アハハハハハハハハハ…ハッ…ハハハ…」
 コムイさんのその言動に、僕は思わず吹き出してしまう…
 「…アハハハ…」
 「…アレンくん…そんな笑わなくてもぉ…」
 コムイさんが唇を尖らせてそう言う。
 「…………済みません…」
 その言葉に僕はなんとか込み上げる笑いを収めようと努力し、零れかけていた涙を手で拭って言う。
 「…イヤいいよ…その様子だと元気出たみたいだね?」
 にっこり笑って言われたその言葉に…
 …!…やっぱり…僕の為にワザと…
 僕はその考えに確信を深め…
 「…有り難うございます…」
 そう深く頭を下げる。
 「…アレンくん…そんな風に改まる必要ないよ。…元はと言えば…キミが不安定になっていることが解ってて『余計』なことまで言っちゃった僕が悪かったんだ…」
 「……コムイさん…」
 コムイさんのその申し訳なさそうな言葉に…顔を上げると穏やかにけれど済まなそうにコムイさんは笑っていて…
 僕はそのコムイさんのその様子に目を瞠る。
 「…でもどうしても確かめたかったんだ。キミが『種』についてどれだけ知ってるのか…キミが…『自分』の事を…『伯爵の下僕』になるかも知れないと…そう恐れていたから…だから…最後まで全て聞いているんじゃないかって思ったんだ」
 そこまで言ってコムイさんが小さく吐息し…
 「…まあけれど…だからってこんなキミの精神状態の悪い時に聞くべきじゃなかったね。……ごめん…悪かった反省してる…」
 コムイさんはそう続けて頭を下げた。

                                       ―続く―