―「『4年前』に死んでいてもおかしくなかった」…

 ……でも…じゃあ…僕は…なんで……

 …なんで生きてるんだ…?…

 …言われた『言葉』に僕は目を見開いて愕然とした。


 
―『種』と『ノア』―
              ―16―
 


 愕然とする僕を余所にコムイさんの話は続く…
 「…アレンくん…僕はクロスの話しと…ブックマンの話し…そしてティムキャンピーの『記録(メモリー)』でのこの4年間のキミの様子…それらから僕は一つの推測をした…それは…アレンくんキミは『お養父さん』をAKUMAにした後…クロスに声を掛けられて割とすぐに『正気』に戻ってるよね…」
 コムイさんの『言葉』に…『あの日』の事を思い出す。
 「……コムイさん…でも…」
 『あの時』の事は…僕には良く解らない…
 …けれどきっと…師匠が『術』を使って『種』を抑えてくれたんだってことは解る…
 「…アレンくん…確かにクロスは『種』の『魔力』は『術』で抑えた。…けれどね…キミ自身の『心の闇』は『キミ自身の心の問題』だから『術』ではどうにもできない。『キミが抑えるしかない』…そうティムの『記録(メモリー)』の中でキミに言ってる」
 そのコムイさんの『言葉』に僕は「あっ」と思う…
 「…そしてねアレンくん…それは『4年前のあの日』…キミが『自分』の『闇』を抑えたからこそ『正気』に戻れたんだってことなんだ」
 そう言ってそしてすぐに「いや」と軽く左右に首を振り…
 「…アレンくん…『4年前』だけじゃない…多分『これまでも』…多分そうだったんだと思う…アレンくんキミは…『4年前』…『キミの心』は『闇』に包まれてはいなかった…どこかに『光』があったんじゃないのかな…?…」
 …え…?…あの時の僕に…?…
 言われた『言葉』に僕は目を見開く。
 「…アレンくん…ブックマンは『戻れない』と言った。…それは『闇』に『堕ちて』しまうから…でもキミは『戻ってる』…『闇』に『堕ちて』いない…『それ』はキミが…キミ自身が…とても『心』が強いからなんじゃないかい…?…」
 …『僕』が…『強い』…?…
 言われた『言葉』に僕は唖然とした。
 …だって…
 …僕は『僕』の『弱さ』を良く解ってるから…

 …だから一瞬…コムイさんの言った『言葉』が…まるで『理解』出来なくて…解らなかった。

                                       ―続く―